◆破傷風毒素 [Tetanus toxin,Tetanospasmin]

 破傷風菌の自己融解で菌体外へ産生されるタンパク質性の細菌毒素。神経毒素の一つで破傷風菌のおもな病原因子で、αとβの2本鎖から成る。この毒素は血液で筋肉へ運ばれて中枢神経に結合して、神経伝達物質であるアセチルコリンの放出を阻害するので、運動系の活動を昂進させ、全身的な痙攣(けいれん)をおこす。この毒素のトキソイドによる注射で抗毒素免疫ができるから、破傷風の予防にはトキソイド、治療には抗毒素血清(抗血清)が有効である。なお、破傷風菌はこの毒素のほかに、溶血毒素テタノリジンを産生するが、症状の発現には関与しないといわれる。

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