◆ペニシリン [Penicillin]

 真菌の1種であるアオカビ(Penicillium notatum)のほか数種のかびが産生するβ-ラクタム抗生物質。A.フレミング(イギリス)によって最初に発見された抗生物質である。おもにグラム陽性菌の発育を阻止し、G,X,F,Kなどの誘導体や半合成ペニシリン類がある。とくにペニシリン G(ベンジルペニシリン)は毒性が低く、有用な化学療法剤として広く使用されている。ペニシリンは細菌の細胞壁の生合成を阻害する。一方、この作用を利用して、逆に細菌の細胞壁の構造や生合成の仕組みが明らかにされた。しかし、その後、ペニシリンによるショック死(アナフィラキシー反応)がおき、ペニシリン耐性菌が出現して問題になっている。ペニシリン耐性菌はβ-ラクタマーゼ(β-lactamase)とよばれる分解酵素をもっており、その酵素によってペニシリンの母核が切断されるので、ペニシリンの抗菌性が無くなるのである。

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