◆ヒラメの表皮増生症ウイルス
    [Flounder epidermidosis virus (FEV)]

 表皮増生症は1985年頃から西日本の各地のヒラメ種苗生産場で発生し始め、その後、大きな被害をもたらしたウイルス病である。この魚病はヒラメのほかキツネメバルやカレイの1種であるマツカワにも発生したが、おもに孵化(ふか)後、約10日ないし25日を経たヒラメの仔魚(全長 7-10cm)が感染する。症状は鰭(ひれ)や体表が白く濁って、それらの表面に無数の球状細胞ができる。これは表皮細胞が増生した結果で、表皮以外の組織にはそのような細胞がみられないことが特徴である。
原因ウイルスはヘルペスウイルス科(DNAウイルス)に属している。病魚の細胞の核内ではウイルス粒子にエンベロープ(外被)をもたず、その細胞質内には直径190-230nmのエンベロープ゚をもっている。pH3の酸性や50℃、30分の熱処理で感染性が失われる。ウイルス粒子は培養細胞からは分離されていない。また、感染源が不明であるからまだ有効な防除法がない。

関連 ヘルペスウイルス科
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