◆芽胞 [Spore]

 内生胞子(endospore)ともよばれ、グラム陽性菌の中で、枯草菌や炭疽菌のようなバチルス属と破傷風菌やウェルシュ菌のようなクロストリジウム属の細菌がつくる耐性細胞である。乾燥、高・低温、薬剤など、その生育環境が変化した場合に、そのような過酷な条件に耐えて生存するため、細菌の細胞内につくられる胞子に似た球状の構造体を芽胞という。遊離した芽胞は増殖できない休眠細胞であるが、環境条件が良くなると(動物体内への接種や新しい培地への移植)、芽胞から出芽によって本来の形である桿状の栄養細胞になって増殖するようになる。したがって、芽胞菌は高温でも殺菌剤にもかなり耐性であるから、容易に滅菌・殺菌することができない。芽胞形成菌は通常は土壌中に多く生息している。このように芽胞形成菌は最も単純な生活環をもっているので、発生生物学の研究にも格好の材料として用いられている。

関連 グラム陽性菌
関連 枯草菌
関連 炭疽菌
関連 バチルス属
関連 破傷風菌
関連 ウェルシュ菌
関連 クロストリジウム属
関連 細菌
関連 殺菌剤
関連 芽胞形成菌