◆結核菌[Mycobacterium tuberculosis]

 ドイツの細菌学者ローベルト・コッホ(Robert Koch)が1882年に確認した、グラム陽性桿菌で、芽胞、莢膜、鞭毛を持たない細長い細菌です。細胞壁に多量の脂質を含んでいる。一旦染色されると酸性やアルカリの脱色液等でも脱色されにくいので、抗酸性菌(Acid-fast bacillus)とも呼ばれる。消毒薬や有機溶媒処理にも抵抗性が強い偏性好気性の細菌です。人工培地では他の細菌に比べると分裂速度が遅く(2〜3回/1日)、培養に時間がかかり、大体一ヶ月を必要とする。 感染は吸入感染で、周囲に菌を排出している健康保菌者などが感染源となる。結核菌が肺に達し、そこで定着すると初感原発巣を作り、更にそこから血液やリンパ液に入り全身に移行し、各種の臓器などで病変を起こす。 結核菌は一般的な細菌と違い、細胞内寄生性菌といって、食細胞の中でも増殖できる。結核菌に感染しているか、又は以前に結核菌に感染して免疫が出来ているかをツベルクリン反応で調べ、免疫が出来ていなければ、BCG(Bacillus Calmette et Guerin; カルメット・ゲラン菌)を接種する。