◆原虫 [Protozoa]

 原生生物界の中の1群で、原生動物ともよばれ単細胞の最も原始的な動物群をいう。大きさは1μm(1mmの千分の1)から3mmまでかなり広範囲であるが、5-50μmの原虫が多い。原虫には淡水、汽水、海水などあらゆる水中や土壌中に生息する自由生活型と、種々の動物に寄生して病気をおこす寄生性原虫(病原性原虫)も多い。二分裂、多分裂、出芽による無性生殖と、接合などによる有性生殖で増殖する。栄養摂取の点からみると、動物性栄養、植物性栄養、腐生性栄養とこれらの混合型がある。原虫の分類は長い間定まっていなかったが、1980年に国際的に新しく体系化され、肉質鞭毛虫類、ラビントモルファ類、アピコンプレックス類、微胞子虫類、アスケトスポラ類、粘液胞子虫類(ミクソゾア類)、繊毛虫類の7門に大きく分けられている。現在、およそ65,000種が知られているが、とくにヒトの消化管に寄生する赤痢アメーバ(肉質鞭毛虫類、根足虫類)やクリプトスポリジウム (アピコンプレックス類、胞子虫類)、泌尿生殖器に寄生するトリコモナス原虫(肉質鞭毛虫類、動物性鞭毛虫類)、血液や組織に寄生するマラリア原虫とトキソプラズマ(アピコンプレックス類、胞子虫類)などのほかに、パランチジウムやカリニ肺炎のニューモシスチスのような詳細が不明の原虫が知られている。また、家畜や魚介類に病気をおこす多くの寄生原虫がある。

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関連 ニューモシスチス
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関連 家畜、家禽の病原原虫
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