◆魚類のブドウ球菌症菌 [Staphylococcus epidermidis]

 ブドウ球菌症は1976年から1977年にかけて高知県と香川県の養殖ブリとマダイに発生した細菌性魚病である。その後、ウナギにも類似した病気が発生した。原因菌はヒトの表皮ブドウ球菌でもある。ブドウ球菌はグラム陽性、通性嫌気性の球菌(0.5-1.5μm)で、一般に皮膚、頭髪などに常在しているが、病原性は黄色ブドウ球菌に比べて弱い。この病原菌はヒトでは尿路感染や呼吸器感染が多いが、魚も不健康になった場合に感染することがあるので、条件性病原菌と考えられている。また、プラスチック製品によく付着する性質があるので、このような感染経路も関係があるかもしれない。黄色色素(カロテノイド)やタンパク質凝固酵素をもたない点などで黄色ブドウ球菌と区別されている。なお、インドではギンゴイから黄色ブドウ球菌が分離されている。

関連 細菌性魚病
関連 表皮ブドウ球菌
関連 グラム陽性菌
関連 通性嫌気性
関連 病原性
関連 黄色ブドウ球菌
関連 条件性病原菌
関連 カロテノイド
関連 タンパク質凝固酵素