◆クルマエビの急性ウイルス血症ウイルス
   [Penaeid rod-shaped DNA virus (PRDV)]

 急性ウイルス血症は最初、1993年に中国から日本へ輸入された種苗を用いて養殖されていたクルマエビに発生したが、その後は他国から輸入された種苗を用いていたクルマエビ養殖場でも発生した。死亡率は80%以上で大きな被害をあたえ、現在は日本での全てのクルマエビ生産施設では重要なウイルス病の一つになっている。この病気は"クルマエビの核内棒状ウイルス(PV-PJ)感染症"ともよばれているが、最近、上記の病名が提案されている。
症状は多くの場合、エビの体色が赤くなり甲殻に白点ができる。病気が進むと皮下組織、造血組織、リンパ様器官、触覚腺などが冒され、それらの感染細胞の核が肥大する。末期にはウイルス血症で死亡する。
原因ウイルスはエビの細胞内に封入体をつくらない。形はやや長い楕円球状で大きさは150×400nmで、エンベロープ(外被)をもっている。この原因ウイルスの分類は確定されていないが、バキュロウイルス科またはそれに似たウイルスと考えられている。なお、1994年以降、日本ではクルマエビの種苗は輸入されていないが、原因ウイルスはすでに定着しているので注意する必要がある。しかし、今のところ感染源や伝染経路が不明であるから有効な防除法がない。

関連 エンベロープ゚
関連 バキュロウイルス科
関連 封入体