◆クルマエビのフサリウム症菌
  [Fusarium graminearum,F.moniliforme,F.solani]

 フサリウム症は最初クルマエビの真菌病(かび病)として報告されて以来、現在はクルマエビにかなりの被害をもたらす重要な病気である。症状はハリフトロス症と似て、鰓(えら)が黒くなることから、以前は"鰓黒病"とよばれていたが、紛らわしいためこのかび病はフサリウム症とよばれるようになった。
原因となるフサリウム属の真菌は不完全菌類の不完全糸状菌目、モニリアキン科に属し、大きい分生子(30-40μm)だけをつくる種類と、細い菌糸に小さい分生子(約10μm)をつくる2種類があり、厚膜胞子をつくるのが特徴である。グラミネアラム菌は大分生子だけを、モニリフォルメ菌は小分生子だけを、ソラニ菌は長い菌糸の先端に塊状に分生子をつくる。ただし、現在の真菌の分類では、以前にフサリウム属とされていた真菌がいくつかの属に分けられている。それによると、グラミネアラム菌の分生子世代がジベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae)と同じであり、モニリフォルメ菌はジベレラ・フジクロイ(Giberella fujikuroi)とされ、一方、ソラニ菌はネクトリア・ヘマトコッカ(Nectria haematococca)とされている。したがって、クルマエビのフサリウム症菌がこれらの新しい分類名として適切か不適切かは明かではない。現在、有効な予防・治療法はないので、病気のエビを除外して塩素殺菌が行われている。

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