◆マイコプラズマ [Mycoplasma,Mollicutes]

 1898年、E.ノカルドとE .ルー(フランス)によってウシ肺疫の病原体として発見され、その後、これに似た病原体が鳥類や下水からも分離され、かつてはウシ肺疫様の原因微生物 (pleuro-pneumonia-like organism: PPLO)とよばれていたが、1929年にマイコプラズマの名称が提案された。その後、1937年にヒトのバルトリン腺から、1954年にヒトの子宮からも類似した微生物が分離された。
マイコプラズマは直径125-150nm(1nmは1μmの千分の1)で、通常の細菌より微小で、インフルエンザウイルスなどのミクソウイルス群とほぼ同等の大きさの生物群である。ヒトの体内にも生息しているが、おもに哺乳類や鳥類の病原体として知られている。マイコプラズマの特性は  (1)形態が細菌と異なり、細胞壁がなく、3層の限界膜のみで覆われて多形態性である。
  (2)発育にコレステロールや血清を必要とする。
  (3)人工培地で増殖するが、集落はきわめて小さい。
  (4)細胞壁がないのでペニシリンやセファロスポリン系の抗生物質は無効であるが、テトラサイクリン系やマクロライド抗生物質では低濃度で有効である。 一般にマイコプラズマは細菌の中に含められている。

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