◆ラッサ熱ウイルス [Lassa virus]

 ラッサ熱の原因ウイルスである。ラッサ出血熱は、全身性のウイルス感染症で、ほとんどの内臓器官が障害を受ける。1969年にナイジェリアのラッサで最初にみつかって以来アフリカ各地で流行している。マストミスという小型の野生ネズミがウイルスの感染源で、マストミスの尿による食物の汚染による経口感染と考えられている。ヒトからヒトへ尿、便、唾液、吐物、血液を介しても感染する。潜伏期は1日〜24日で、初期症状は、咽頭痛、悪寒、頭痛、筋肉痛、倦怠感である。その後、咽頭痛は、悪化し白色または黄色滲出物の斑点が扁桃腺部位に認められ、癒合して偽膜になる。2週間目には下腹部痛と嘔吐、鼻血、歯肉からの出血や斑点状丘疹が認められ、急性期には血圧が低下する。重症な場合は、意識の混濁、興奮、胸水が出現し、けいれんの大発作が起こり死に至る。死亡率は16〜45%と高い。ワクチンなどの予防法は確立されていない。
関連 ウイルス
関連 ワクチン