◆連鎖球菌毒素 [Streptococcal toxins]

 溶血連鎖球菌は菌体外へストレプトリジンOとSとよばれるタンパク質性の溶血毒素(細胞溶解毒素)、とディック毒素(Dick toxin)とよばれる発赤毒素(erythrogenic toxin)を産生する。ストレプトリジンOは酸素で溶血性が無くなり還元剤で回復する。この毒素は赤血球膜のコレステロールと結合して、細胞膜に環状の孔をつくる孔形成毒素(pore-forming toxins)の一つであろうと考えられているが、まだ詳しい作用メカニズムは判っていない。ストレプトリジン Sもこれに類似した作用が電子顕微鏡的に観察されている。一方、発赤毒素は猩紅熱の発疹の原因になる毒素で、抗原的に違うA,B,Cの3種類がある。そのほかに酵素として、この細菌の多くの菌株がプラスミノーゲンへ結合して活性化させるストレプトキナーゼ、多糖であるヒアルロン酸を分解する酵素、タンパク質分解酵素やDNA分解酵素などを産生して病原性に関係している。

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