◆リゾチーム [Lassa virus]

 鶏卵の卵白や動物の分泌液、例えば、涙、唾液、腟の分泌液などに存在する酵素である。鳥類にとって大切な卵や我々人間の大切な場所(目、口、腟)を微生物の感染から守るために存在する天然の殺菌物質である。分子量が14,300程度の塩基性のタンパク質で、細菌細胞の細胞壁を加水分解する酵素である。微生物が侵入して来ると、このリゾチームが働いて微生物を溶かす。このリゾチームの存在があるからこそ、目、口や腟を清潔に保つことができるのである。
関連 微生物

 ムラミダーゼともいわれる細菌の細胞壁多糖を切断する酵素。正式名はN-アセチルムラミド・グリカノヒドロラーゼである。細菌の細胞壁を構成している共通の成分はペプチドグリカンとよばれ、その多糖部分(グリカンまたはムレイン)はN-アセチルムラミン酸とN-アセチルグルコサミンがβ-1,4ムラミド結合した重合体である。この多糖はきわめて強固で、細菌細胞を保持する役割がある。リゾチームはこの細胞壁グリカンのβ-1,4結合を加水分解する酵素である。
この酵素はトリの卵白中に多量に含まれ、そのほかに動物の組織(脾臓、胎盤)や分泌物(涙液、唾液、尿など)、キャベツやカブなどの植物、ある種の放線菌やバクテリオ・ファージ T4にも存在する。細胞壁分解作用はグラム陰性菌に対するよりグラム陽性菌に対するほうが強い。この酵素は細菌の細胞壁を破壊する手段として、細胞質膜や細胞質内成分の研究にしばしば用いられる。また、その分解生成物であるオリゴ糖(数個の単糖結合物)の分析結果は種々の微生物の細胞壁の構造や分類に重要な糸口をあたえる。この酵素活性は通常、グラム陽性菌のミクロコッカス・リゾデイクチカス(Micrococcus lysodeikticus)の濁度の減少で測定される。

関連 細胞壁
関連 ペプチドグリカン
関連 放線菌
関連 グラム陰性菌