◆サルモネラ菌[Salmonella]

 腸内細菌科に属するグラム陰性の桿菌で、周毛性の鞭毛を持ち、活発に運動する。食細胞に貪食されても、細胞内で生きていて増殖のできる細胞内寄生性菌である。この菌の中には、ヒトにチフス症を起こす菌や、食中毒を起こす菌などがあるが、ヒト以外の動物などでも色々な病気の原因となり得る。
 同じ菌でも宿主によって起こる病気が異なる場合がある。 例えば、ネズミチフス菌や腸炎菌はネズミではチフス症を起こすが、ヒトでは食中毒の原因となる。近年サルモネラ菌、特に腸炎菌で汚染した鶏卵による食中毒が全国的に発生している。日本で飼育されているニワトリのヒナは殆どアメリカから輸入されているが、アメリカ産の種鶏そのものがある程度の割合で腸炎菌に汚染されている。その結果、鶏卵の1、000〜2、000個に一個は卵黄に菌が検出され、日本でも鶏卵を介して腸炎菌による食中毒が起こる。 実際、腸炎菌で汚染された鶏卵で作った生クリームを使ったテラミス・ケーキや、汚染した鶏卵で作った錦糸(金糸)卵を食べて多くの人が食中毒になっている。
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