◆殺菌剤 [Bacteri(o)cide(s),Fungicide(s)]

 一般にはウイルス含めた微生物を殺滅する薬剤をいうが、狭い意味では細菌や真菌を殺滅する薬剤を指す。また、化学的な殺菌を消毒といい、その薬剤を消毒剤とよんでいるが、一般ではほとんど殺菌剤と同じ意味で使用されている。殺菌剤には微生物の細胞を直接破壊する強力な作用をもつ薬剤(本来の消毒剤)と微生物の代謝を特異的に阻害して、その増殖を抑える薬剤(抗生物質や化学合成薬剤)がある。 前者はおもに公衆衛生上で使用され、後者は農林業や畜水産業上でよく使用される。
おもな消毒剤としてアルコール類(エタノールなど)、塩素系(塩素ガス、晒し粉、次亜塩素酸ナトリウム、塩素化イソシアヌール酸、クロラミン T)、ヨウ素系(ルゴール液、ヨードチンキ、ヨードホルム、ポビドンヨード、ヨードホール)、フェノール系(フェノール、クレゾール、ヘキサクロロフェン)、有機水銀系(マーキュロクロム)、酸化剤(オキシドール、過マンガン酸カリウム)、界面活性剤(逆性石鹸など)、酸やアルデヒド(ホウ酸、ホリマリンなど)があり、そのほかに、よく使用される強力な消毒剤としてジグアニジン-塩素系のヒビテンがある。また、最近、オゾンによる殺菌も行われるようになった。
一方、農林・蓄水産業や食品・繊維工業では動植物の病原菌や腐敗・変性菌を防除するための殺菌・防腐剤も多い。古くから使用されてきたボルドー液(硫酸銅と生石灰)や有機水銀剤をはじめ多種類の合成薬剤がある。しかし、これらの殺菌剤は毒性が強い物質も多く、その使用に当たっては充分な注意が必要である。

関連 ウイルス
関連 細菌
関連 真菌
関連 消毒