◆赤血球 [Red blood cell(s),Erythrocyte(s)]

 脊椎動物(哺乳類、爬虫類、鳥類、両生類、魚類、円口類)の血液中に存在し、血色素タンパク質であるヘモグロビン(hemoglobin)を含んでいる細胞である。赤血球は成体では骨髄で新生される。哺乳類の赤血球は中央がくぼんだ円盤状で、骨髄などの造血組織中では核をもつが循環血中では、ラクダとラマ以外では核が退化している。また、鳥類以下の脊椎動物の赤血球は多くが楕円形ですべて有核である。大きさは哺乳類で4-8μ、鳥類で12-15×7-9μ、爬虫類で17-20×10-14μ、両生類で23-60×13-35μであるが、魚類では差が著しい。赤血球中のヘモグロビン(ヒトで30%)は酸素と二酸化炭素を運ぶ役割をもっている。炭酸脱水酵素が存在して炭酸と炭酸水素塩とを可逆変化させることで、血中の炭酸ガスの運搬が効率よく行われる。一般に赤血球の寿命は100-120日とされている。なお、南氷洋の魚類には赤血球をもたない数種が知られている。種々の赤血球は凝集反応や溶血反応、さらに細胞膜の構造や機能の研究にも好適な細胞として用いられる。

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