◆シガテラ毒 [Ciguatera toxin(s)]

 熱帯または亜熱帯域のサンゴ礁に棲息する魚や貝を摂食すると、しばしば激しい神経性の食中毒をおこすことがある。とくに知覚障害が特徴で、いわゆる"ドライアイス・センセーション"とよばれるドライアイスに触れたときのような感覚になる。シガテラとは従来カリブ海でシガという巻貝が原因した食中毒を指していた。その後、種々の魚介類によっても同じ症状の食中毒がおこり、とくにウツボ、カマス、カンパチ、ヒラマサ、ハタ、フエダイ、ブダイ、ハギなどの魚類による中毒が多発した。これらの魚類をシガテラ毒魚とよんでいる。ただし、死亡例は少ない。
この中毒の原因となる毒はシガテラ毒とよばれ、ポリエーテル化合物のシガトキン(ciguatoxin: CTX)と、海洋生物の中で最強の毒性があり、きわめて複雑な構造であるマイトトキシン(maitotoxin : MTX)が知られている。シガテラ毒魚にはシガトキシンが多く含まれ、それはガンビエルトキシン(ganbiertoxin:GTX)という毒をもっている渦鞭毛藻ガンビエルジスカス・トキシカスを魚が摂取し、魚体内でシガトキシンに変化するといわれている。

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