◆食品の変色 [Color change of food]

 食品の原材料である各種の動植物成分が食品の加工や貯蔵過程で物理的、化学的または微生物的に変色する現象である。これらの変色は
   (1)動植物体固有の色素の化学変化
   (2)酵素作用による色素の生成
   (3)微生物による変色
   (4)無機化合物による変色
   (5)その他の化学的変化(非酵素的変色)
などに分けられる。動植物固有の色素としてアントシアン、カロテノイド、クロロフィル、フィコシアノビリン、フィコビリン、フラボノイドなどがあり、これらの色素が褪色または変色する。酵素による変色としてはポリフェノール・オキシダーゼやパーオキシダーゼによるポリフェノールの酸化、チロシナーゼによるチロシンの酸化などがある。微生物による変色には、好塩細菌による赤変、低温細菌による冷凍食品の黄変がある。無機化合物による変色には、硫化物による場合やスズや鉄によるアントシアンの変色がある。その他の変色としてはタンニンの酸化、糖のカラメル化や糖とアミノ酸との反応による変色、光による変色などが挙げられる。これらの変色を防止するには、食品の鮮度や品質に応じて、一般に低温保存、低温殺菌、塩蔵、乾燥、脱気、遮光などの処置がなされるが、自然の色調を完全に保持させることは困難である。

関連 好塩細菌
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