◆多糖 [Polysaccharide(s)]

 グリカンともいう。タンパク質、脂質、核酸とともに生体を構成している重要な高分子物質の1群で、グルコースその他の単糖が多数結合した糖質である。多糖は同種の単糖から成る単純多糖(ホモ多糖)、異種の多糖から成る複合多糖(ヘテロ多糖)に大きく分けられ、中性糖のみの中性多糖、ウロン酸(単糖のカルボキシル基置換体)、リン酸、エステル硫酸などを含む酸性多糖がある。ただし、コンドロイチン硫酸やヒアルロン酸などは、従来、ムコ多糖とよばれていたが、それらはウロン酸とアミノ糖(単糖のアミノ基置換体)で構成されて、自然界ではほとんどがタンパク質と結合しているので、プロテオグリカン(タンパク-多糖)とされている。また、脂質と結合した複合多糖はリポ多糖または糖脂質とよばれる。
多糖の種類は多様で、植物などのセルロース、デンプン、グリコーゲン、グルカン、キシラン、マンナンなどの単純多糖、昆虫や甲殻類のキチンのようなアミノ多糖のほか、動植物や微生物の粘液質や細胞成分として多種類の単純多糖や複合多糖が知られている。一般細菌の細胞壁を構成しているペプチドグリカン、グラム陰性菌の莢膜などの細胞表層や菌体外へ産生されるリポ多糖や糖タンパク質などは細菌毒素や抗原として重要な複合多糖である。最近、種々の生物がもっている複合多糖の生理活性や機能が注目されつつある。

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