◆鉄酸化細菌 [Iron oxidizing bacteria]

 鉄細菌ともいい、2価の鉄を3価の鉄に酸化して増殖する細菌をいう。ある種の鉄酸化細菌はマンガン化合物も酸化して増殖する。鉄酸化細菌はグラム陰性菌であるが、無機物を利用して生育する化学合成独立栄養性の細菌と、有機物も利用できる従属栄養性も備えた混合栄養性の細菌があり、これらは3群に分けられている。
第1群は鞘をもった糸状細菌でレプトスリックス属(Leptothrix)はその代表である。レプトスリックスは鉄を含む無機培地でも、有機培地でも生育できる独立栄養と従属栄養との混合栄養性である。第2群は有柄細菌あるいは出芽細菌とよばれ、偏性の化学独立栄養菌のガリオネラ属(Gallionella)が代表である。第3群は普通形態をもった化学合成独立栄養細菌で、シデロカプサ属(Siderocapsa)やチオバチルス属(Thiobacillus)がある。チオバチルス・フェロオキシダンス(Thiob.ferrooxidans)は硫黄酸化細菌でもある。そのほかに、通常の従属栄養菌であるが2価鉄を酸化できる細菌もある。鉄酸化細菌は純粋培養に成功していない菌種が多い。これらの細菌は鉄分が多い湖沼の深層水に多く生息し、鉄やマンガンの沈積や鉱床をつくる役割をもっていると考えられている。

関連 細菌
関連 グラム陰性菌
関連 化学合成独立栄養性
関連 従属栄養性
関連 有柄細菌
関連 硫黄酸化細菌