◆ウェルシュ菌 [Clostridium perfringens]

 1892年にウェルチ(Welch)が分離し、ウェルシュ菌(Clostridium welchii)と名付けた。一般にガス壊疽菌と呼ばれる絶対嫌気性のグラム陽性桿菌である。芽胞を持つので高温や乾燥に抵抗性が強く、酸素のある条件下や、乾燥、高温など増殖に不適当な環境では芽胞をつくる。ウェルシュ菌による病気は、菌の産生する外毒素が原因となり、ガス壊疽と食中毒の原因となる。ウェルシュ菌は、レシチナーゼ、コラゲナーゼ、DNA分解酵素などの外毒素を産生する。これらの毒素の作用により急激で広範な組織破壊が起こり、ガスが産生されて患部が腫れ上がる。一方、本菌によって汚染された食物を摂取すると、腸管内は酸素が無いので増殖し、芽胞を形成する時に腸管毒素(エンテロトキシン)を産生する。
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