◆ウシ型結核菌[Mycobacterium bovis]

 マイコバクテリア属(Mycobacterium)のグラム陽性桿菌で、一般的な性状や形態はヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)とほぼ同じである。分類上は結核菌と共に結核菌類に入り、ウシに病原性があり、生の牛乳などを飲んだヒトやその他の動物に感染する。熱に弱く56℃30分の加熱で容易に死滅する。結核症の予防に用いるワクチンのBCGは、フランス・パスツール研究所のカルメットとゲランが、ウシ型結核菌を胆汁加馬鈴薯培地に長期継代培養し、ヒトに対して病原性の弱い株(弱毒生菌)を樹立したもので、Bacille de Calmette et Guerinに由来する。結核菌に対する免疫(細胞性免疫)が出来ているかどうかを調べる方法をツベルクリン反応と呼ぶ。これは結核菌由来の精製ツベルクリンを肘の内側に皮内接種して72時間後に接種部位に発赤が出来るかどうかで調べる。一旦、BCGで免疫は成立しても、その後の免疫力の低下により結核に感染するヒトが増えている。
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