◆ピロジニウム属渦鞭毛藻
[Dinoflagellate,Pyrodinium bahamense var.compressum]

 麻痺性貝毒の原因となる渦鞭毛藻*の1種である。殻をもつほぼ球形の渦鞭毛藻で細胞長33-47μm、細胞幅33-52μmである。後部に2本の刺をもち長い連鎖群体をつくる。この藻種は熱帯域、おもに大陸を除く東南アジア、南太平洋諸島、中央アメリカ太平洋沿岸に出現し、多くの被害をひきおこしている。統計によれば1934年から1994年の間に2,323件の中毒事件が発生し、その死亡率は97%を越えている。今のところ日本では発生していない。この藻種の発生もギムノジニウム属の渦鞭毛藻*と同様に、富栄養化した海域やマングローブの海域に限定されている。この渦鞭毛藻ピロジニウム・バハメンセの亜種(P.bahamense var.bahamense)はおもに大西洋の熱帯域に出現するが、これは、毒産生能がないとされている。

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