◆ウナギの鰓鬱血(えらうっけつ)症ウイルス
[Venous hyperemia virus of eel (VHVE)]

 このウイルス病は日本で1980年代後半から、加温ハウス養殖されているウナギに散発的に発生しているが、ときには被害が大きくウナギの養殖業界で問題になる病気である。この魚病の初期はウナギの鰓弁の中心部が異常に赤くなることで、多量の静脈血が鬱血(うっけつ)することからこの病名がつけられた。この魚病の特徴は上記の症状のみでなく、鰭(ひれ)、肝臓、腎臓の表面や腹腔内やその脂肪組織などにも出血がみられることである。病魚の血管の内皮細胞の核が異常に大きくなり、その中に多数のウイルス粒子が観察される。そのウイルス粒子は直径が約80nmの正二十面体である。しかし、まだ原因ウイルスが分離されていない。したがって、その性状や分類も確定していないので感染源や防除法も不明である。

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