細菌の細胞壁が破壊されて細胞質が外部へ放出(溶出)される現象である。溶菌現象には浸透圧変化やクロロホルム処理などの人工的な場合、卵白などに含まれるリゾチームなどの溶菌酵素による場合、ブデロビブリオ(細菌寄生菌)やファージ(細菌ウイルス)による感染やバクテリオシン(細菌が産生するタンパク質性の抗菌物質)による場合のほかに、免疫現象の一つとしての溶菌もある。ただし、ファージ感染による場合はファージ･リゾチームとよばれる酵素による。なお、細菌の培養過程(増殖曲線)でその死滅期に自己融解がおきるが、この場合も酵素による溶菌現象である。