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24.クリプトスポリジュウムてなに? 1-23-97.

  埼玉県のある町の水道水にクリプトスポリジュウムという耳慣れない虫(原虫)が何らかの原因で混入し、それを飲んだ町民に下痢が起こったと、マスコミが大きく報道した。この原虫は、水を飲むことにより感染し、小腸粘膜に寄生し激しい下痢を起こす。日本では、全く新しい下痢の病原体である。しかし、東南アジア諸国を含め世界的に存在する。牛や豚等の家畜および野生の鹿等が感染していて、その糞便に排出されている。これらの感染動物の糞便が飲み水を汚染する。その水を飲んだ人達に感染が広がる。山間地に生息する野生動物が感染しているので、人のいない山奥のきれいな水でも安心できません。クリプトスポリジュウムの感染で下痢をしている人が24時間風呂に入った後はどのようになるのでしょう。多少心配です。この虫を専門に研究している科学者が国内にはいない。やっかいな問題に発展しないことを願うのみです。

  ◆ 6-10-97. ◆クリプトスポリジウムの続き.

パートワン.
丁度1年前の1996年6月埼玉県越生町でクリプトスポリジウムによる集団下痢が発生し、町人口約1万4千人のうち約9千人が激しい下痢と腹痛に襲われた。1993年には米国のミルウォーキーで40万人の事故が発生した。いずれも水道水が原因である。 又今年3月にロンドンの一部の水道水が汚染され、市当局は水道利用者65万人に飲み水や調理水は煮沸水を使用するよう勧告した。この虫による水道水汚染は、世界的問題となってきた。

パートツゥー.
クリプトスポリジウムCryptosporidiumは、原虫類の胞子虫綱コクシジウム類に分類され、イソスポラIsosporaトキソポラズマToxoplasmaと近縁である。下痢の原因となるC.parvumパルブムは、ヒト、ウシ、ブタ、ヤギ、イヌ、ネコ、ネズミ等の腸に寄生する。感染したヒトやウシの糞便には、直径約5マイクロメートルの球形のオーシストが多数排泄され、下痢の極期にはヒトでは1日に10億個、ウシでは100億個も排泄すると言われています。1個から数十個でヒトは感染するとも考えられています。糞便中の虫が水道水の水源に流れ込まない工夫が必要であるようです。東京都等の大都市の水道水がこの虫に汚染されると、大変な問題に発展する可能性が考えられます。

パートスリー.
虫のオーシストは、化学物質の透過性が悪いので、消毒剤やオゾンに対して強い抵抗性を示す。例えば、塩素に対する抵抗性は大腸菌より60万倍強いと言われています。従って、上水処理の塩素濃度では全く殺効果が期待出来ません。オーシストは小さいので、砂濾過や凝集沈殿等の通常の上水処理で完全に除去できません。体外に排泄されたオーシストは、水中で5℃では100日間、15℃では40日間経過しても10%のオーシストは感染性を保持しているそうです。



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