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49.ウイルスによる食品汚染と品質評価.7-14-97



  曖昧模糊の「14.輸入魚介類と肝炎ウイルス」と「15.新鮮魚介類と下痢ウイルス」、および「用語解説のウイルス」も参考にして下さい。細菌とウイルスは、全く性質の異なる微生物です。

Part−1:

  ウイルスは、素材は別にして製品化された食品の中ではぜったいに増殖しませんので、ウイルスによる商品・製品の品質劣化はおここりません。食品やその素材がウイルスで汚染されているケースは、製造環境全般がヒト糞便で汚染されていることを間接的に証明し、不潔な物であることを意味します。

Part−2:

  ヒトの腸管(糞便)由来で病気の原因となるウイルスの種類は、百種類以上あります(下痢のウイルスを参考にし下さい)。エイズやインフルエンザなどのウイルスは、酸やアルカリ、および洗剤やアルコールなどに対する抵抗性はつよくありません。したがって、インフルエンザウイルスにかかっている人は、呼吸をとおして空気中には大量のインフルエンザウイルスをはきだしますが、このウイルスは胃の酸や腸のアルカリにふれるとすぐに死にますから、糞便には普通でてきません。胃酸や胆汁に耐えられるウイルスのみ腸管内でも増えて、糞便と共に体の外に排泄されます。

Part−3:

  糞便に混じって排泄されるウイルスは、下水や海水の中でも死滅する事はあまりありません。数個の生きているカキを海水の水槽に入れて、そこにウイルスを実験的に混入させると、カキがウイルスを吸い込むために海水中のウイルスはすぐに検出されなくなります。生きている魚介類はウイルスをロカするフィルターの役目と体内に濃縮・蓄積するコンデンサーの役目をはたします。また魚介類が生きていなくても、ウイルスはその魚介類の表面に簡単に付着します。更に糞便に排泄されるウイルスは、凍結しても死滅しにくい性質があります。

Part−4:

  食品またはその素材がウイルスで汚染されている事は、上にも書きましたように、直接・間接的にヒトの糞便で汚染されたフケツな食品であることを示唆します。つい最近までは、厚生省でも細菌による食中毒のみを「食中毒」としてあつかっていました。ウイルスによる食中毒は、原因不明としてあつかわれていました。しかし、ウイルスによる食中毒と考えられる症例が増えてきたので、厚生省も今後はウイルスによる食中毒も届け出制に変更しました。

  何種類かの小型で球形のウイルス(SRSVと略称する)やA型肝炎ウイルスに新鮮魚介類が汚染されているケースが見かけられるようです。ウイルスで汚染された食品から食中毒や場合によっては肝炎になる可能性も大いにあり得るのです。ウイルスの検査はむずかしいのでどこででも検査を引き受けてくれるとは限りませが、ウイルス汚染の有無の検査を受けて、その試験に合格した証明書が添付してある魚介類や食品をさがす努力を賢い消費者は心がける必要がありましょう。国産品だから安全・安心とは限りません。生ガキによるひどい食中毒になることもありますので、今後はウイルスの食品汚染に新たな目を養いましょう。



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