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91.24時間風呂は細菌学的にきれいになったか?.  4-28-98.

その1.循環式浴槽のレジオネラ菌.

 最近開催されたある学会の抄録集に、「24時間風呂の水からトリ型結核菌が検出された」との報告が掲載されていました。24時間風呂もまた新しい問題を抱えてたようで、今後も大変だなーと感じました。

 別にまたLABEAM 感染症検査ニュースレターの最新号に「循環式浴槽におけるレジオネラ分布調査…神奈川県」という報告が載っていましたので、この報告の概略を解説します。この曖昧模糊の「2.24時間風呂は本当にきれい?」も参考に読んでください。

 この報告書によると、旅館等から13検体、一般家庭から11検体とサウナ等から8検体の総計32検体の浴槽水を用いてレジオネラ菌(正式にはLegionella pneumophila)の分布を調べた。その結果、調べた32検体の内21検体(66%)の浴槽の水からレジオネラ菌が検出されたようです。浴槽水100 ミリリットル当たりの検出された菌数は、数十個のが10検体(31%)、数百個のが4検体(13%)、数千個のが5検体(16%)で数万個のが2検体(6.2%)であったという内訳であった。

 24時間風呂の水にレジオネラ菌が何個存在すると危険かと良く聞かれることがあります。しかし、細菌の危険度は、人の健康状態や免疫力により大きく左右されますので、簡単に何個とは言い難いと思います。しかし、冷房用の冷却水では、数万個の菌数は消毒・殺菌を必要とする範囲と指定されています。

その2.レジオネラ菌の分布と菌数

 報告書に記載されている菌数を施設に分けてみると、下の表のようになりました。

  レジオネラ菌の分布と菌数
                              
  施  設 検体数 陽性数 陽性率 平均菌数  最高菌数  
  旅館等   13   10 77%  180   3,900
  一般家庭  11    9 82%  790  25,000
  サウナ等   8    2 25%   14      19
  全  体  32   21 66%       25,000  

 菌数と陽性率は、サウナ等が一番少ない。しかし、同じ営業用で不特定多数の人々が利用する旅館等では、サウナ等よりは多くなっています。利用者数から判断すると一般家庭の菌数は、一番少なくても不思議は無いのですが、結果はその逆で、陽性率も菌数も一番高い結果になっています。

 調査した24時間風呂の機種や付帯装置、更には洗浄の仕方や消毒剤の使用有無等が報告書には、記載されていません。営業用と家庭用の機種は、値段も装備も違い、更に洗浄の仕方や頻度も違うのではないかと思われます。

その3.この程度の雑菌は?

 この報告書に記載されている結果を総括的に眺めると、この程度の菌数では健康人にすれば、あまり感染する危険性を危惧する必要はないのかも知れません。それでは、絶対に安全かと問われると、答えに窮します。

 私には田舎で一人暮らしをしている老婆がいます。年老いて一人暮らしでは、お風呂の掃除などは大変であろうから、24時間風呂があれば掃除などが老婆には楽で良いかとも考えた時期も何年か前にはありました。しかし、「24時間風呂」を購入する変わりに「お手伝いさん」に来てもらうことにして、数年になります。 これからもしばらくは、私の自宅等では24時間風呂のお世話になることは多分無いように感じています。

 しかし、個人的には、24時間風呂はまさに現代向きの素晴らしい商品と信じています。その上、このような機構または装置を付ければ細菌学的にキレイな24時間風呂も出来そうだとのアイディアも少しは持っています。いずれの時には、誰にとっても素晴らしい風呂が出現するでしょう。その時には、私も24時間風呂を楽しませてもらえるかも知れません。

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