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213.生殖器に潰瘍があるとHIVが増大.1092000

  HIVが感染する最初のターゲットは白血球ですが、この細胞が何らかの刺激を受け活性化すると、HIVの細胞への侵入、細胞内での増殖等が促進され、感染性ウイルス粒子の細胞外への放出量も増大することが解っています。性感染症(STD)と性行為によるHIV感染リスクの増大との間には相関関係が成り立つことも解っていますが、女性生殖器におけるHIVの増殖と免疫の活性化との関係はまだ解っていません。そこで、米国のCDCとコロンビア大学の研究者達が女性生殖器の炎症とHIVとの関係を調査し、女性生殖器に潰瘍があると、膣分泌液中のHIVの量が200倍も増加し、HIV感染の危険性が増大する可能性があることを国際学術雑誌に報告しました。

  平均年令が35.5才のHIVに感染している女性12名について、子宮頚部の病変を調べた。全患者の子宮頚部の表面(扁平上皮)に軽度から重度の潰瘍や炎症が認められた。これらの患者は、抗レトロウイルス治療をまだ受けておらず、臨床的にも細菌学的にも子宮の頚管炎や生殖器に感染は認められなかった。

  潰瘍の治療を開始して2週間後、膣洗浄を行いその洗浄液と血液を採取した。膣洗浄液には、HIVウイルスの遺伝子(RNA)、腫瘍壊死因子(TNF)や活性化されたリンパ球やマクロファージ等が作る生理活性因子の濃度が大きく増加していた。しかし、血液中ではこれらの因子の増大は認められなかった。

  この試験で、生殖器の病変(潰瘍や炎症)が免疫を活性化させ、その結果HIVの感染、伝播や進行を促進させる可能性があると結論しています。(The Journal of Infectious Diseases 181:1950-19562000. Correlation between Human Immunodeficiency Virus RNA Levels in the Female Genital Tract and Immune Activation Associated with U;lceration of the Cervix.

ある匿名の男性からメール奇妙な質問を貰ったことがあります。少し卑猥な表現をお許しください、「風俗店に行った、相手の女性が大量の膣液を出していたのでそれが自分の手に付いた、セッケンでいくら洗っても臭いがとれない、その結果風邪をひいた、クラミジアに感染したのでしょうか」という内容でした。膣液にはB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、エイズのHIV、クラミジアなど恐ろしい病原体が含まれている可能性があるので、「君子危うきに近寄らず」と書き送ったことを思い出しました。潰瘍があるとHIVが200倍も増加しているとのことですから、そのような人を相手にするとHIVに感染する確率が四倍も高くなること(144.スケベエな話、HIVの感染確率)と合わせて記憶して貰いたいと思います。HIVは麻薬と同じく人間を破壊する恐ろしい力を持っています。

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