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233.ネズミや馬の毛が喘息に関与 .3-5-2001.

 新聞やテレビの気象情報では、天気や気温等の気象予報に加えて花粉の飛散する予測が絵入りで報道されるようになりました。私の近くでも眼を赤くしている花粉症の人がもう既に見られる季節となりました。アレルギー体質の人にはこれから本格的に辛い季節の到来のようです。

 花粉症とは違うのですが、この数年、ネコ、イヌ、ダニが喘息症状の引き金になること言われています。以前に羽毛フトンに入っている羽根がある人にはアレルゲンになるとの情報を曖昧模糊の「157.羽毛ふとんもアレルギーの原因に?」に掲載しました。今回は、イヌやネコなどとは違うネズミやウマの毛も喘息発作に関係するらしいとの情報を紹介します。

 研究室でマウスを取り扱う人達のマウスアレルギーを治療してたことが契機となり、小児の喘息とマウスとの関係が調査され、その結果が公表されています(J. Allergy & Clin. Immunol. 106:1075-1080, 2000)。その概略を紹介します。米国の喘息患者は、約1,500万人で、うち500万人が小児で、米国の小児の7%以上が喘息に罹っていると推定されています。

 600人の小児の住居から採取したダストサンプルを分析したら、これらの住居の95は、一部屋以上からマウスアレルゲンが検出された。マウスアレルゲンは、台所で最も多く検出され、次いで寝室と居間であった。この600人中500人の小児に、ゴキブリ、マウス、ネコ、雑草を含むアレルゲンテストを実施した。その結果、小児の18%がマウスアレルギーであった。大都市の喘息では、ゴキブリが一番喘息アレルゲンとして重要であるが、ネコ、イヌやダニよりもマウスは二番目に重要であった。マウスアレルゲンとしては、尿と鱗屑の形で都市の人口密集地を広く汚染している。各家庭では、ゴキブリと同様、ネズミも積極的に駆除しなくてはならない、と述べています。

 また週末になると決まって喘息が悪化する英国の男児の珍しい症例も報告されています(Brit. Med. J. 321: 286-287, 2000)。金曜日の夕方になるとこの9歳の男児は、いつも同じく喘息が悪化し、月曜日の朝までその状態が持続した。しかし、姉が不在の時には週末になっても症状が現われなかった。その謎は意外なところに隠されていた。姉は金曜日の夕方に趣味として乗馬を楽しんでいたが、姉が乗馬を止めたところ、弟の喘息の症状は現われなくなった。それで、ウマの毛アレルギーが判明した。この症例の場合は、「弟のアレルギーを誘発していたのは、意外に姉の趣味の乗馬であった」と述べられている。これは、乗馬を楽しむ人々が衣服に付着したウマの毛を至ところに持ち込んでいるから起こるので、アレルギー患者の場合もウマの毛との接触を完全に立ち切ることはできないようである。

 もう随分と前になりますが、私がアメリカでガンウイルスの仕事をしていた時の話です。台所の砂糖からそのガンウイルスが検出されたとの報告が学術雑誌に掲載されたことがありました。「砂糖がガンの原因となる」のかと、研究室の仲間達と話題にし、不思議だと思いました。その後の調査から、黒人が多く住んでいる地区の住居では、夜中になるとネズミが我が物顔に出没し、台所では砂糖入れにまで入りこみ、オシッコをしていることが判りました。小児喘息にネズミの尿が関与しているとの上の論文を読んで、台所の砂糖からガンウイルスが見つかった話しを思い出しました。ネズミやゴキブリは、どこにでも侵入し、いたるところにオシッコやウンコをするらしいです。ドロボーに対する戸締りばかりでなく、喘息患者のいる家庭ではネズミやゴキブリにも注意を払う必要がありそうです。

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