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264.「なにかおかしいぞ、日本」私の主張−8. 10-26-2001.

テロ事件から見えたアメリカ人の強さ.

在米日本人男性、

先週の火曜日(平成13年9月11日)には、アメリカの歴史に残る悲劇的な大事件が持ち上がりました。あのワールドトレードセンターにはみずほグループの事務所が入っております。私の息子が通っていた事務所です。幸いにみずほグループの日本人社員は全員無事に非難できたようで、ほっとしています。

この一週間、事後処理の過程で、私はアメリカ人の強さや偉大さを再確認したように感じています。WTCビルの周囲には、頭上から落ちてきた書類の紙やガラスが夥しく散乱し、更に落ちてきた人の血等がところ狭しと散らばっていました。あのビル崩壊の直後、消防隊を中心とした救助隊が到着し、直ちに救助活動を開始しました。まだ崩壊した落下物は高温であり、4階ほどの高さに成ったという残骸は崩れ落ちる危険が一杯でした。その中での救助活動ですから、結果300人近い救助隊が死亡する二次災害が起こったわけです。そんな中で救助活動を続ける勇敢な行動に胸が詰まりました。多くのアメリカ人は声を出して泣きました。この現場にブッシュ大統領が直ぐ駆けつけ、救助隊の肩を抱くようにいたわりの言葉をかけていた姿も、政治的なアピールがあるにしても、感動的でした。

輸血用の血液の不足が報じられると、献血希望者は長蛇の列を作り、5時間も待って献血した人もいたようです。9月15日には大統領の出席のもと、犠牲者の追悼ミサが行われました。誰言うと無く、こうしたミサはアメリカの多くの都市で同時に行われました。全国民のこのように一致団結するアメリカの強さが痛く感じられる出来ことでした。

そして、物理的に彼らを結ぶものが星条旗です。星条旗を目の前にしてアメリカへの忠誠心とホコリを確認しているようです。小さな星条旗が何十万枚と売れたようです。ここアトランタでも、星条旗をなびかせて走っている車がたくさん目にとまります。今週から再開される大リーグ野球やフットボールでは黙祷と星条旗が舞うことでしよう。私は日本人の国旗に対する反応を常々悲しく思う者ですが、国旗は国家の象徴であり、このように国旗を大切にするアメリカ人が輝いてみえます。アメリカの強さの根源はこんな所にもあるように感じられます。

さて、数日前からここアトランタでは非番の消防署員が交差点に消防車をとめて、寄付金集めを始めています。信号で止まる車はほぼ100%、数ドルといった小額ですが献金しています。消防士が持つ仕事用のゴム長靴の中に1ドル札を放り込むのです。このように、アメリカ人は助け合いの精神が旺盛で、すぐ行動に移すところが素晴らしいのです。

ともするとこうした積極的な行動に惑わされがちですが、自己反省に欠けている面も感じられます。アメリカ人は自分達の行動は善であり、アメリカが求める基準が世界の基準だと主張するような、独りよがりの覇権主義を続けてきたことが、こうしたテロを触発する深層の一端をになっているような気がします。多様な価値観を持つ世界の人々に思いを寄せず、経済効率を最優先し、株主への報酬を最大化するために、世界を巻き込んでしまう戦略がほころび始めたのかも知れません。しかし、そうした自己反省をすることなく、一方向に進みつつあることに恐怖を感じます。

我々日本人は自分が日本人であることを何で確認しているのでしょう。将来の日本を背負っていく子供達の教育に携わっている先生方が、一部とは言え、国旗も国家をいまも否定する国がどこにあるのでしょう。日本人を結び付けているものは存在しているのでしょうか。一端事が起こったら、いまの若者は国外に逃げるというそうです。どこに逃げる積りなのでしょう。取り留めの無いことを書きました。

[完]

アラビアのロレンスとテロ.

男性科学者.

暫く前にNHK教育で安田喜憲先生の「森と文明」,川勝平太先生の「近代はアジアの海から」という番組があり興味深く拝聴しましたが,森の枯渇とともに多くの文明が滅んできたことが花粉考古学で明らかにされてきたそうです.乾いた状態では花粉は非常に丈夫なことに驚くとともに,人間は同じことを繰り返しているのだと感じます.

我々科学を扱って来たものは花粉というとブラウン運動を想起します.花粉を水に入れると水を吸って割れ,中から出てくる微細な粒子がランダムに激しく動くという現象です.水分子の動きが反映されているのだと習いましたよね.今の版(第4版)は改訂されているようですが,以前の版までは理化学辞典には花粉そのものが動くように説明されていました.花粉のように大きくなると運動のベクトルが平均化されて動くはずは無いのですが,権威者が一度書くとみんなが間違えてしまう良い例です.とにかく,花粉なんて簡単に壊れると思いこんでいましたので,花粉考古学には非常に驚きました.

花粉を調べて時代による植生の変化を読みとることで森の衰退とそれを支えた国家の衰亡が対応していることが分かるのだそうです.砂漠になってしまった地域に国を作ったことが今回のテロの一原因とも思われます.即ち、イギリス,フランス,アメリカが中心となったのでしょうか,細かいところはよく分かりません.20世紀初頭,オスマン帝国を倒すために,アラブ人の民族運動を利用しました.“アラビアのロレンス”を英雄にしてこの辺の状況が描かれたわけですが・・・.彼らはこの映画をどのような思いで見るのでしょうか? 一方,戦費を確保するためにユダヤ財閥に土地の確保を密約するという二股膏薬を当時のイギリスがやってしまったのがパレスチナ問題を今日まで複雑化するもとになったそうです.

米国,英国の首領があれだけ一生懸命になるのは単にテロ対策だけではないでしょう.過去に自分たちがやってきたことの正当化のためにもやらざるをえないのだと思います.某国の首相はどの程度歴史的背景を踏まえて動いているのか見ていて危なっかしい限りです.また,マスコミも海外の情報を鵜呑みにして流すだけでなく,背景を充分に我々国民に示して欲しいものです.これも教育が詰め込みで,折角習った歴史が各個人レベル(報道関係者等)で活きていないからだと思います.

戦争のための軍隊なんてどの国も持たないそうです.自衛のために持つのが建前で,確かに,外国侵略のための軍隊なんて言い訳が立つはずがありません.自衛隊はどうなるのでしょうか.この戦後50年間の議論はそれなりに重かったはずですが,あの方はあっさりと蹴飛ばしてしまいました.なぜ,事実を整理して議論することをしないのか,これも教育のせいでしょうか? 

昨日出張の帰りに書店に入った瞬間に目に入ったのが田中宇氏の「タリバン」という文庫本でした.珍しい名前ですから目立ちます.早速,岩波新書のイスラム関係のものと一緒に購入しました.イスラム社会を日本の歴史と対照させて紹介するなど分かりやすい本です.そこで、「田中宇の国際ニュース解説 世界はどう動いているかhttp://tanakanews.com/>」のHPを開いて見ましたが,現在展開している世界の事件の裏を一部覗いたような気がしました.

以上,浅薄な知識をもとに書いてしまいました.お許し下さい.でもこれは私が受けた教育のせいではなく,私個人の問題と思っております.

[完]

国外から見える日本人の優越感.

南米ペルーの女性.

25年間ペルーのリマに住んでおりますが、子供達の教育が終わる数年先には、アンデス奥地に引っ越そうと準備中であります。村中でトイレ、温水シャワーがあるのは内装中の我が家だけ。その村出身の方の家の中には、リマの首都圏ですらまともなトイレが無かったりしています。今のところは、家の工事をかねて年数回行き来していますが、村を上げてのお祭りの時などもトイレ事情の問題で、毎回家まで往復したり大変です。家が何とか形づくまでお世話になっていた村役場には、我が家を設計した建築家の友人にデザインしてもらった公衆シャワーつきトイレを提案、去年出来あがりました。

まだ90%以上自給自足の生活をしている人々がほとんどのオンゴイ村で、50歳からの人生を送る予定です。その為にインターネットで色々と学んでいます。「暮らしと微生物」のページを何度も訪問している者です。毎回楽しく過ごさせていただいています。農業、牧畜、料理(豆腐や納豆とか)、人や動物の病気の事ですとか。できるだけ、自然の中での豊かな余生を送りたいと計画実行している次第です。

今年7月にオンゴイに行きました時に、私達のためにと1年半も育ててくれたブタを御馳走になる事になりました。あちらのブタは乾燥とうもろこしやその枯葉だけを食べさせて育てるため大変美味しいのですが、残念な事に、絞めてみたら大きめな米粒ぐらいのテルキーナス(とこちらでは呼んでいます)の寄生虫が身体中いっぱい入っていて諦めなくてはなりませんでした。ペルーでもテルキーナスが見つかった場合は焼却と法律では決められています。ところが手伝いに来ていた村の人達は納得しません。まったく私達は責任を持たないということで、彼らがそのブタを引き取る事を受け入れました。ブタの飼い主の話では、彼らは適切な処理の方法を知っており、今まで何度もその寄生虫におかされた家畜を食しているから問題は無いということでした。

西洋医学、東洋医学と言われていますが、アンデスでは古くから独自の医学があります。植物の9割が薬用と言われるアンデス、そしてアマゾンに向かう高地ジャングル。そういったすぐれた薬草のほかに、クイという小動物を使ったエネルギー的と言いますか、霊的と言いますか、独特の治療があります。これはクイに患者の状態を移させて、クイを開けて問題を取り除く事によって間接的に手術をするようなものです。本当に不思議ですが、事実です。いつか科学的に説明できる専門家が現れる事でしょう。たとえできないままであっても、人間が科学として説明できる事だけが正しいと言うのはこの偉大な自然に対しあまりにも傲慢である様に思われてなりません。

海外旅行のホテルに対する日本人の考えなどにも触れられましたが、全くそのとおりだと思います。(この8年間、日本人観光客専門の観光ガイドの仕事についております)毎回、住めば都ですか、などと日本の生活のほうが高級とでもいうような問いかけに対し、日本ではとても生活できませんと答えますと、分からないと言う表情をされます。まず、狭い家にはもう住めませんし、メイドさんの居ない生活もしたくないです。日本ではメイドさんは高いからと言われますが、価値観の違いだと思います。

公立の小学校の先生をしていた友達が3人目の子供を出産、子守り兼メイドをやとってそれまでどおりに働きつづけています。ある時日本人観光客との話のテーマがその先生が支払うメイドの給料のことになりました、それでは先生の収入では交通費ぐらいしか残らないじゃないと言われました。友人から返ってくる返事は、それでも私は専業主婦にはならないわよ、知識階級の女性として生きていくために必要な支払いは払うというものでした。

中古車ばかりが目立つ事にも、日本人観光客は優越感を感じられる様です。ところが、ペルーでは新車を買う値段で2-3LDKのマンション(?)が、まあまあの住宅街で購入でき、リマから車で1時間ばかりのリゾートの海の別荘もそのくらいで手に入ります。ですから、ピストル強盗に取り上げられてしまうような車には大金は使わず、不動産に投資します(ちなみに相続税はゼロ)、5年から15年ものの中古車で移動するのです。

日本では億ションなんて言っていますが、リマの高級マンションは一軒400から500平方メートルの広さです。日常生活のレベルにとんでもない差が有る事にはあまり気がつかない様です。日本は世界の経済大国だと思っていますので。経済大国とか中流階級と優越感を持っていても、日常生活にあって心のゆとりと豊かさをどれだけの国民が実感しているのでしょう。長くなってしまいました、御挨拶のつもりでしたのに。これからの御活躍楽しみにしています。

[完]

WTCビルが崩壊したことはテロ集団にしても期待以上の成果 (?)と大喜びしているのかも知れません。しかし、多数殺戮兵器としての炭疽菌については彼らの期待に程遠い成果なのだと私は思っています。その原因は、空気中に散布したのと違い郵便封筒に納められているので肺に吸い込まれる量が少ないことに起因するのではと思っています。不幸中の幸いです。本当はもっと怖いことになっても不思議ではないのですから。

アメリカ在住の男性とペルー在住の女性および日本在住の科学者から経済に対する考え方、国民性および心の問題に触れるメールを頂きました。経済的な優越感を持っていても、国民を一致団結させるものを持ってない日本人は、国外からみると「ひ弱なヒヨコ」のように映るらしいですね。国内の者からみると言葉のダマカシが横行しいているようです。狂牛病に対する政府の対応も英国人からみると「呆れてしまう」もののように映るようです。善き時代の日本人が持っていた「武士の魂」のような筋がないのでしよう。武士の魂またはそれに代わる精神的な筋の形成を真摯に考える時なのでしょう。

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