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267.狂牛病、国内二頭目. 11-21-2001.

二頭目発見の意味すること.

「5歳7ヶ月の乳牛が狂牛病と確認した」と、厚生労働省が11月21日に発表した。平成13年9月10日に一頭目の狂牛病が見つかった時、私は二頭目の発見は時間の問題であると感じました。ヨーロッパ諸国の経験から学べば、三頭目も四頭目の狂牛病の発見もある程度予測されます。ヨーロッパ諸国では原則的にプリオンが蓄積する30ヶ月以上の牛を対象に調べているのに反し、日本では30ヶ月未満の牛がこれまでの検査の半数以上を占めているのだそうです。技術的にプリオンが検出しにくい30ヶ月未満のケースが多いことは、もしかすると消費者の不安感を払拭する事を考えての行政サイドの作為的で意図的な指示があるのかも知れません。それでも二頭目が見つかってしまったとウガッタ考えを持ってしまいます。げすの勘ぐりであることを期待したいものです。

9月10日に一頭目の狂牛病が見つかったことは、ある人達には不幸中の幸いであったかも知れません。ある程度予測されていたとは言え、狂牛病発生というトンデモナイ事件が発生したにも拘らず、その翌日はニューヨークの世界貿易センターにテロ集団に乗っ取られたジェツト機が突っ込んだのですから、日本人も狂牛病を忘れ朝から晩までテロののニュースに見とれていたからです。

ヨーロッパ諸国での発生状況.

ヨーッパ諸国でこれまでに見つかった狂牛病の発生数は、イギリスでは1986年からで18万頭と多く、ポルトガルとスイスは1990年からの11年間で605頭と396頭、フランスが1991年からの10年間で443頭、ベルギーとオランダは1997年からの4年間で54頭と21頭などであります。

国内で見つかったプリオンは、ヨーロッパで流行している狂牛病のプリオンと同じ型といわれていますから、イギリスの狂牛病の肉骨粉による汚染と推測されます。とするとベルギーやオランダと同じような経過をたどると仮定することも可能で、これからの数年間に国内で数十頭の狂牛病が発生する可能性が危惧されます。

一頭目と二頭目の牛は同じ地域で同じ時期に同じ骨肉粉を含む飼料で育てられたて感染したと考えられます。これまでの報道によると国内に輸入された肉骨粉は約8万トンにもなるそうです。その肉骨粉は、どこに消えてしまったのか、情報が聞こえてきません。誰が肉骨粉を輸入し、誰に渡したのか、何に使ったのか等は記録を辿れば直ぐにでも判るのでないかと思えるのですが、どうも積極的に調べている様子が見えてきません。関係官庁は、調べたくないのかも知れません。背景に彼らが隠蔽したいか庇護したいなにものかが存在し、そのなにものかに不都合な事柄があるのかも知れません。

農水省の無責任さ.

最初の感染牛が見つかった9月10日に農水省は、「ほかの牛は安全だ、全国調査をする必要はない」と言い切った自信はなんであったのでしょうか。口から出任せな発言で国民は納得するとでも勘違いしているのでしょうか。

これまでの状況証拠やヨーロッパ諸国の出来事等から推測すると、国産牛の汚染は深く静かに進行していると考えた方が良いのかもしれません。なぜならば、農林水産省や厚生労働省等からの発表、例えば「安全宣言」等はどの程度に信用していいのか判らないからです。

狂牛病またはプリオンについては、まだまだ謎だらけで判らないことが多いのですから、科学的に100パーセント安全を保障すること自体オカシイのです。農林水産大臣と厚生労働大臣が二人揃ってカメラの前で大きな口を開けて焼肉を食って「安全を演出」してみせた。根拠のない安全宣言を見せられると、なぜ演出する必要があるのか、その不自然さに私は疑念を持ちました。

日本で狂牛病が発生する可能性について報告書を出そうとEU連合が働きかけた時、「危険性が強調されすぎる」と日本の農水省は抗議したのだそうです。根拠のない安全を安売りした農水省の安全宣言を国民は信用してないと思います。風評による牛肉の売れ行きに悪影響が出ない事を願っての事としても、農水省の期待とは裏腹の現象「風評被害」が酪農家、食品店、レストラン等に広まりつつあるようです。風評被害を生み出し広めたのは、日本の政府と高(給)級官僚ではないでしょうか。

諸外国の経験則に学ばず、メーカー、生産者と族議員のサイドにたった行政を行っておいて、国民に対する悪意と思われる結果が表にさらされると、「責任を痛感している」との一言で終わりになると思っている農水大臣や農水省の幹部に対して、消費者は自分達の考えや希望を行動で示さなくてはならないと思います。彼らは、国民から強い権限を授かっているのですから、その権限の背後には国民に対する責任と義務が当然にある筈です。

さてさてどうすれば良いのでしょうか。このような状況になったとき、民主主義の先輩諸国の国民はどのような態度をとるのでしょう。腐っているのは外務省だけの専売特許でなく、厚生労働省も農林水産省も似たような存在にうつります。監督官庁の発言が信用できなくなった時、我々はなにを信用し、なにに頼り、どのように考え行動したら良いのでしょう。どなたか教えてくださいませんか。

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