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274.成人にハシカの流行. 2-28-02.

二度と罹らないハシカ.

 一度かかると二度と罹らない病気の代表にハシカがあります。ハシカは、子供に多い病気ですから、成人してハシカに罹ることはまれです。ところが成人のハシカが多くなっていると良く耳にするようになりました。二度と罹らないハシカがどうして成人に多く診られるようになったのでしょう。

   東京にある感染症基幹病院の感染症の専門医がある医学雑誌で「重症化しやすい成人麻疹」と題して、ここ数年間で観察された成人のハシカについて述べています。その概要を簡単に紹介します。

   平成12年に東京都に報告のあった成人のハシカは120名であった。感染症基幹病院で平成12年の1月から平成13年の9月までの1年9ヶ月間に成人のハシカで入院した患者は、116名であったそうです。この数値は、専門医のいる病院では迅速且つ正確に診断がつけられ、その結果一般の医療機関よりは多くの患者が見つけ出されている状況を示していると解釈できます。

  116名の成人ハシカの内訳は、男女は各々58名で性差はなかった、患者の年齢は15〜19歳が39%と最も多く、24歳以下で全体の約3分の2、30歳未満が全体の約90%を占めていた。ハシカワクチンの接種歴は、母子手帳で確認するようにつとめ、ワクチンを受けたのは約3%、受けていなかったのは約52%で、残りは受けたか受けてないか不明であった。

   成人の症状は、小児とあまり変らないが、発熱、発疹、咽頭痛、咳がほぼ100%に、下痢が50%に、リンパ節の腫れと結膜炎は60%に、頬の内側にできるポクリック斑は80%に見られた。しかし、発熱や咳による脱力感が強く、重症感が認められた。ハシカによる死亡の最大の原因は肺炎で、栄養状態の悪い患者では重篤化しやすいと言われているが、今回の成人ハシカ患者では認められなかったそうです。

   ハシカの流行は3〜7月の5ヶ月間くらいに限られますので、この時期に30歳未満の成人で咳、発熱、発疹のある方は、ハシカを疑ってお医者さんに診て貰うことをお薦めします。30歳未満の成人でハシカワクチンを受けた経験のあるのは全体の3%程度とは私も大変に驚きました。「日本はハシカの輸出大国」と言われ世界から嫌われている理由が解るような気がしました。子供がハシカに罹ると、6年ほど経過してから20万人に1人の割合で亜急性硬化性全脳炎(SSPE)を患い植物人間になって死亡することが解っています。成人がハシカになった場合、治った後にSSPEになるのかならないのかは今後の問題と考えられます。ハシカは怖い病気です。

 

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