▲▲ ▼▼    

291シカ肉からO157感染7-20-2002.

ウシ、ヒツジやヤギなどの家畜が病原性大腸菌O157の保菌獣であり、そのうちウシが人のO157感染にもっとも関与すると考えられています。O157の感染は、汚染された飲食物を介した経口感染で、ビーフ以外にポーク、ラムや鳥肉を食べたケースが報告されています。

米国で七歳の少年が胃腸疾患で救急病院に搬送されてきました。その少年の三日前からみられる症状は、出血性の下痢と吐き気でした。抗生物質による治療で六日 後には下痢はおさまりましたが、少年の下痢便からのみO157が分離され、両親や姉妹からは検出されなかったようです。

少年に胃腸障害が現れる二日前に父親が野生の白尾シカWhite-Tailed deerを獲ってきて、しとめたシカの肉を家族のために焼いて調理しました。少年は、生焼けの赤いテンダーロインをたくさん食べました。父親は少し食べましたが、母親と妹はほとんど食べませんでした。少年が緊急入院した日に父親は胃の調子が少しおかしかった程度でした。

凍結保存されていたシカ肉のパックから、少年の下痢便からと同じ性状のO157が分離されました。これまでにO157が検出されたと報告されているのは黒尾シカBlack-Tailed deerのみで、白尾シカWhite-Tailed deerからO157が検出されたのはこのケースが最初であるそうです。ところが、野生の白尾シカ77頭を調べた結果、三頭(4%)がO157陽性であったそうです。

米国では一千万人からの人がハンティングを楽しんでいるようで、そのハンターが獲るシカやエルクの数は莫大であるから、ハンティングには注意しようと呼びかけています。具体的には、内臓に傷をつけないように首、心臓や肺臓などの胴体を射止める、できるだけ早く解体する、特に消化管は素早く腹腔から取り出す、取り出した消化管はきれいに洗い、乾燥させ4℃程度に冷蔵することを薦めています。

日本国内では異常に増えたシカによる農林業の被害がよく報道されていますが、シカはハンティングの対象となっているのでしょうか。もし狩猟の対象になっているとすると、O157を保菌する可能性が考えられますから、解体するときは注意する必要があるのかも知れません。

▲▲ ▼▼    



Copyright (C) 2011-2024 by Rikazukikodomonohiroba All Rights Reserved.