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310.冬の食中毒.1-19-2003.

カキによる食中毒.

暖冬かと思っていた今年は、お正月から関東地方では雪が降り、その後も寒い日々が続いています。空気の乾燥と低温によりこの冬は、イカフルエンザ将軍が猛威を振るうような勢いです。また「牡蛎・カキ」が旬の季節となりました。雪が降らないまでも寒い日には家庭でも鍋料理が恋しくなります。ところが生憎とこの美味しいカキが原因となって食中毒が全国的に多発しています。

平成13年度に届けられた食中毒は、全国では1,928件も発生し、総計で25,862名の患者が出たようです。月別にその発生状況を眺めると、5月〜10月の夏期にはサルモネラ菌、腸炎ビブリオ菌とカンピロバクター菌などの細菌による食中毒が多く、12月〜3月の冬期はダントツに小型球形ウイルス(SRSVと一般には略称される)が多くなります。食中毒は年間を通して起こりますが、その原因物質は時期により特徴があります。

SRSVによる食中毒.

殻からカキを出すと黒く見えるところがありますが、ここにウイルスが濃縮されて多数存在しています。カキを生または生煮えで食べるとお腹にウイルスが入り込みます。食べてから1〜2日して、腹痛、下痢、吐き気などの激しい症状がでます。頭痛、発熱やのどの痛みなどカゼと似た症状が見られることもあります。ほんの数個のカキを食べただけでも食中毒になることもあると言われています。

カキの体内にあるウイルスは、そもそもカキのウイルスではなく、人が糞便とともに排泄したものと考えられています。感染する汚染カキまたはウイルスを持っていない清浄カキは、外観的には全く判りませんし、鮮度とも無関係です。また生食用と表示されていても安全とは限りません。また外国の輸入品でも国内産でも安全かどうかは判りません。そのため充分に熱がととおったものを食べるように気をつける必要があります。

ある種の啓蒙書にカキによる食中毒の予防法として次のようなことが書かれていることが多いと思います。≪SRSVの食中毒を予防するには充分に加熱すること、できるだけ生で食べないこと、調理の前後に手を洗うこと、まな板や包丁などを洗剤、消毒剤や熱湯で消毒すること、採取海域などを確認すること≫等であります。

啓蒙書にはあまり書かれていないのですが、「黒く見えるところが危険」で、「ベロや貝柱など」はあまり多くのウイルスを含むことはありません。そのため「中心部まで全体が十分に加熱する」必要があると考えて、カキ全体が小さくなるまで加熱して美味しさをなくしてしまうことは必要ないと思います。しかし、「黒いところだけは充分に加熱」してから食べることに注意することと、殻から取り出す時に「黒いところに傷をつけない」ことが肝心と思います。美味しいものは美味しく楽したいものです。

 

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