331. 生カキを安全に食べる対策. 9-20-2003.
生カキの美味しい季節が到来しました。忘年会の季節になると毎年主に小型球形ウイルスSRSVによる食中毒が多発します。その原因は、SRSVに汚染されているカキを生または生煮えで食べることにあると思われます。カキなどの二枚貝のウイルスによる汚染状況は、「97.生カキのウイルス汚染の意味. 6-30-98. 」に掲載してあります。恐ろしいほどのウイルスによる汚染が進行しています。
「カキ鍋を楽しみたいがカキは何分くらい加熱すれば安全になりますか、酢は殺菌力があると言われていますが酢カキは安全でしょうか」などのメールを貰うことがシバシバあります。これらの質問に答える情報を「くらしの衛生、46巻」に見つけましたので紹介します。
カキなどの二枚貝から感染するウイルスは、SRSVに限りません。しかし、季節にも寄りますが、食中毒の主な原因ウイルスとしては、小型球形ウイルスSRSVが一番多いようです。
「くらしの衛生、46巻、広がるSRSV感染症」に記載されている、SRSVの抵抗性を抜粋してここに転載します。
表1と表2にまとめました。pH3.0という強い酸性状態に3時間曝しても、60℃で30分間加熱しても、また水道水の塩素濃度の50倍程度の塩素系消毒剤に30分間曝しても、SRSVは抵抗性を示し死滅しないようです。この結果は、酢ガキは危険であることを示しています。
表1.小型球形ウイルスの抵抗性
pH3. 0の溶液 3時間
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加熱処理 60℃に30分間
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4-6ppmの次亜鉛素酸処理 30分間
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そこで、加熱に対する抵抗性を別な側面から調べた結果が表2に示してあります。生カキは通常冷やしてあります。それを使ってカキ鍋を作るとします。との程度の火力のある熱源かは記載されていませんが、卓上のガスコンロで過熱するものとします。カキを入れて適当な加熱時間の後、カキの真ん中に温度計を差込、温度を計測します。
最初のカキの温度は10℃でした、1分の加熱では64℃でウイルスは生きていました。1分半の加熱で初めて80℃に達し、同時にウイルスの感染力は消えたようです。この結果から、カキを沸騰している状態に少なくても1分半から2分はおいてから食べるようにしないと加熱しても感染することを示しています。64℃から80℃にカキ内部の温度が上昇するまでの30分間にSRSVは死滅することを示唆しています。1分半の時間は、カキ鍋を眺めている人には大変に長い時間に感じると思われます。
表2.煮沸によるウイルスの不活化
煮沸時間
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0秒
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30秒
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60秒
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90秒
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2分
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3分
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4分
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カキの中心温度
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10℃
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41℃
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64℃
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80℃
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86℃
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96℃
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99℃
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ウイルスの感染性
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+
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+
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+
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−
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−
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−
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−
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+ は感染力が認められた、-は感染力が消失していた。
この成績の出典は、東京都衛生局のHPで「くらしの衛生」です。興味のある方は次の方法で原点から確認してはいかがでしょう。
忘年会の時期になると決まって集団食中毒が発生します。それは1分半待てない人を意味するのかも知れません。皆さんは、時計を見ないで1分半の長さを判定できますか。カキ鍋を食べる前に1分半を言い当てられる訓練をされては如何でしょう、あなたの健康のために。
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