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374. 歯の漂白剤と口腔癌. 10-1-2004.
 
大分前に曖昧模瑚の何番目かに若者の茶髪問題と毛染剤に含まれる成分が生体に必ずしも有益でないものが含まれていることを書きました。今回は、清潔志向の一部としての白い歯のための漂白剤の安全性について短い文を紹介します。
 
工業先進国や開発途上国を含めても日本人の歯並びの悪さは、世界的であるようです。犬歯がドラキュラの牙のように飛び出しているのを「八重歯」と称し、「可愛らしさ(?)」の表現のように誤解している人がいることが、歯並びの悪さを是正できない要因と思っています。ドラキュラの牙も親が矯正してあげれば、実際の担当は歯医者さんですが、いずれは正しく並ぶようになります。
 
キレイに歯が磨け、さらに色々な薬効が宣伝されている「歯磨き」が店頭にたくさん並んでいます。その上若者が食後によく歯を磨くようになったと思っています。そのため近頃の若いお母さん達は、自分のみならず子供の歯磨きもよく躾けているようです。歯並びもキレイにしてください、親の躾としてよい傾向と思います。
 
ところが、よく磨かなくても「キレイで健康色の歯」をもっている人もいる反面、かなり丁寧に時間をかけて歯磨きを励行していても現代風に表現すると「黄色ポイ歯」の持ち主もいるのです。唾液の性質や嗜好品などによって、歯医者さんに磨いてもらっても直ぐに「歯に色がつく」人もいるのです。歯の色は、タバコを吸わない人であっても、歯磨きだけで解決できる問題ではないのです。
 
ところが真っ白な歯を求めて若者の間で広く使われるようになった歯の漂白剤が安全性の見地から問題であるかも知れないとする報告を見つけました(MT 9-9-04)。その概要を紹介します。
 
米国ジョージタウン大学耳鼻咽喉科・頭頚部外科のバーニンガム博士らが行った研究です。頭頚部にできる癌の病因はと言えば、タバコやアルコールなどが直ぐに思い浮かぶであろうが、最も新しく疑われるようになってきた原因は、カルバミド過酸化物を活性成分とする歯の漂白剤であるようです。
 
過酸化物を使用している歯の漂白剤の安全性に疑問がもたれているのは、主に酸素フリーラジカルの放出が原因で、歯の漂白剤の一部はカルバミド過酸化物を22%も含んでいることが判りました。スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、唾液のペルオキシダーゼ、アスコルビン酸と他の抗酸化物により口腔内で過酸化水素が急速に新陳代謝されるため、粘膜に大おきな影響を与えないと言われているようです。安全であるとなっているのです。
 
ところが、バーニンガム博士らは、1997年〜2003年に原発性口腔癌と診断された患者のカルテを見直し、その上で患者と面接してタバコとアルコールの摂取に加えて、歯の漂白剤の使用についてもたずねました。19例が今回の研究に参加することに同意してくれた、うち3例(3/19=16%)が歯の漂白剤を使ったことがあることがわかりました。歯の漂白剤を使った者は、口腔癌の他の危険因子を持たない傾向があることが解かったと述べています。最後に「歯の漂白剤と口腔癌の関連についての知見を確認するには、より大規模な研究が必要」とも述べています。
 
ここに紹介した「歯の漂白剤」がどのような商品なのかが私にはよく判りません。練り歯磨きに漂白剤が処方されているのとは、少し違うようです。漂白剤で歯をこするのではなく、ます自分の歯並びの歯型を作る、その歯型にゲル状の過酸化物を入れて、2〜3時間から一晩その歯型を装着するようです。国内ではまだ店頭には並んでいないのかもしれません。この過酸化物は、直ぐに分解されることが判明しているとしたとしても、自然体で生活するのがよいのと違いましょうか。

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