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396. 慢性C型肝炎−油断は禁物.4-10-2005.
 
肝機能検査値が正常
偶然にC型肝炎と診断された患者または慢性C型肝炎の患者の約3分の1では、肝臓機能の検査値が正常であるそうです。これらのことから、誤って健常なウイルス保有者であるまたは肝臓に問題がないと思い込むのは危険であるようです。肝臓の機能を表示する検査値が異常でないから肝臓に異常がないと思ってしまうためにその後の処置が遅れ、肝硬変に移行してしまう恐れがあるからです。お医者さんも留意する必要な場合があるようです。
慢性C型肝炎患者であって肝機能検査値(GPTやGOT)に異常が認められない場合でも、ペグインターフェロンを1週に1回投与およびリバビリンの1日1回の投与を24週または48週間行なったら、ウイルス量もGPT の上限値も低下する所見が得られたとドイツのZeuzen教授が発表しています(MT2004,5,6)。
針刺し事故によるC型肝炎対策
C型肝炎患者の血液で汚染されている注射針による針刺し事故は、医療従事者にとっては大変に深刻な問題です。医療機関での針刺し事故は、けっこう珍しくないと聞きます。針刺し事故などによるC型肝炎ウイルスに曝露後の予防策としての薬物療法はいまだ存在しません。そのため毎月GPTやGOTなどのトランスアミナーゼ値を測定し、数週間に1回ウイルス(核酸)検査を行なって経過を観察します。
C型肝炎ウイルスの核酸RNA検査が連続して2回とも陽性であることが確認されたら、少なくとも医療従事者には抗ウイルス療法を適用すべきと考えられます。14例の針刺し事故による感染例で、ペグインターフェロンを毎日1回の投与を4週間継続した。その後20週間は毎週3回の割りでインターフェロンを投与した。治療終了から6ヵ月後には、C型肝炎ウイルスのRNA値が検出限界以下となり、GPT値は正常化していた。約4年間の追跡調査を行なったところ、肝炎の症状を認めた例は無く、全例でC型肝炎ウイルスのRNAは陰性で、ウイルス抗体価も低下していた。
 
ペグインターフェロンとリバビリンの効果
肝癌患者の80%以上は、C型肝炎ウイルス抗体が陽性であるようです。このウイルスは、プラス1本鎖RNAを遺伝子とするフラビウイルス科に分類されています。今現在も試験管内で培養することができないウイルスの1種類なのです。RNAを遺伝子とするウイルスですから、ウイルス核酸が複製される場は、細胞質であるはずです。それがなぜ高率に肝癌の原因となるのかはいまだ依然とて不明です。
インターフェロンは、注射後生体からの消失が早いため、生体内にある濃度をある期間維持させるためには、頻回に投与を繰り返す必要があり、患者に苦痛を強いるケースが少なくありません。それでインターフェロンの活性や持続性を高める改良が試みられてきています。インターフェロンに分子量約4万の不活性型ポリエチレングリコール(PEG)を結合させたペグインターフェロンがあります。腎臓からの排泄を遅らせることにより血中半減期が90時間以上となり、これまでのインターフェロンより10倍以上の持続効果があり、抗インターフェロン抗体の誘導能も低く、リバビリン(グアノシンのアナログ)との併用で有効性はC型肝炎ウイルス感染者全体の約50%に達するとされています。
 
C型肝炎ウイルスの診断は、ウイルス蛋白を抗原として免疫抗体を測定するシステムが確立されています。この検査法の確立と検査の精度の上昇から、C型肝炎ウイルスの検出が容易となり、その結果C型肝炎ウイルスの感染者は全世界の人口の約1〜2%と推定されるようになりました。約1億人もの感染者がいる計算になります。ペグインターフェロンの有効性の上昇も結構なのですが、毎週3日も注射を受ける治療法は患者に大変な苦痛を強いています。そのうえC型肝炎ウイルス感染は、慢性化し、肝硬変と肝癌へと進行することが判っていますから、有効で確実な治療法の確立が強く望まれるゆえんなのです。毎週3回も投与しないで数週間に1回で済むような治療法も開発されつつあると聞いています。 

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