▲▲  ▼▼

413. メガネのフレームと顔面感染症. 10-20-2005.
 
面庁と丹毒
細菌による感染症に、俗に言う「おでき」があります。「ふきでもの」と言った方が解りやすいかもしれません。主にブドウ球菌が皮膚に感染して起こる皮膚病です。赤く腫れて、とても痛いのが特徴です。しばらくすると膿が出て治ります。
顔にできると「面疔(めんちょう)」と言って、昔は恐れられた病気があります。「丹毒(たんどく)」と呼ばれる病気もあります。これはレンサ球菌と呼ばれる細菌による皮膚感染症で、高熱とともに皮膚が腫れ、赤い斑点がでるものです。ペニシリンなどの抗生物質が有効です。今回は丹毒についての情報を提供します。
 
丹毒
メガネの金属製フレームが原因で金属アレルギーの人が丹毒(たんどく)になったとのニュースがありました(MT11.3.2005)。丹毒と聞いてもなんのことか解らない人が多いと思いますので、最初に丹毒を説明します。
 
丹毒とは、主に溶血性レンサ球菌(まれには黄色ブドウ球菌)による皮膚の感染で、俗にいう「おでき」の一つですが重篤な形態です。1〜2日の潜伏期の後に発熱、頭痛を伴って、顔面や頬またはその他の部位に輪郭の明確な赤い斑点を生じます。丹毒はまれな感染症で、1万人に1人程度の割合で発生すると言われています。細菌による感染症ですが、不完全な治療では、再発を繰り返すようになります。これを習慣性の丹毒と呼びます。適切な治療が行われなければ、生命にかかわることもある怖い「おでき」です。皮膚には多種多数の細菌が普通に存在しますが、無傷の皮膚は細菌が体内に侵入することを防いでいます。皮膚に傷ができると細菌は、体内に入って炎症と感染を起こします。皮膚の傷を清潔に保てば危険性は減少します。多くの場合は予防することは不可能です。

メガネの金属製フレームで丹毒
若い男性患者が2年間に5回も顔面の丹毒に罹り、入院を余儀なくされた。5回目の症状が現れたとき、患者が使用しているメガネのフレームと金属アレルギーが丹毒再発の誘因でないかと疑われた。丹毒の溶血性レンサ球菌は、鼻孔や耳介にできた傷口から侵入することが多いことから、患者は皮膚科から耳鼻咽喉科に紹介されました。
耳鼻咽喉科での入念な視診でも、傷口は見つかりませんでした。しかし、メガネの金属フレームが接触している鼻の皮膚にカサブタが出来ていることが見つかりました。そこで金属との接触性の皮膚炎が疑われました。皮膚のパッチテストを行ったところ、ニッケルに対して強い陽性反応が、また患者が使用している金属性フレームの削り屑に対しても強陽性反応が現れました。その金属フレームの主材料は、洋銀(ニツケルが約24%)とモネルメタル(ニツケルが約60%)であることが判明しました。そこで金属フレームの使用を止めたら、丹毒の再発は認められなくなりました。このことから、ニッケルをアケルゲンとして顔面皮膚に生じた慢性接触性の湿疹であると診断され、これが顔面の丹毒再発の誘因と考えられました。
 
 
ピアスやメガネの金属フレームの材料またはそこに含まれる成分がある人には病気を引き起こす誘因になることが、この報告からも判明しました。私自身も水銀に対して強く反応するアレルギー体質です。薬によっては水銀を含んでいることもありますので、使用する前に防腐剤として水銀が使用されていないかなどを調べないと、使用後に不快感に悩まされることもあります。「触らぬ神にタタリなし」ですが、常に予防策が成功するとは限りません。意外なものが意外な原因となる時代となりました。自分の健康にはお互い注意しましょう。

▲▲  ▼▼



Copyright (C) 2011-2024 by Rikazukikodomonohiroba All Rights Reserved.