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438. ソフトコンタクトと感染. 6-10-2006.
キーワード:ソフトコンタクトレンズ 真菌感染 Fusarium 角膜炎
 
米国食品医薬品局(FDA)と米疾病管理センター(CDC)は、ソフトコンタクトレンズの使用者にまれではあるが深刻な真菌感染が増加していることについて、医師と患者に注意を喚起しています(MT5-25-06)。この感染症の流行は、Fusariumという真菌(俗にいうカビ)が原因で、ソフトコンタクトレンズの使用者にみられる角膜炎です。2005年11月からアジアでこの感染症が報告されていたようです。今年の2月になって、シンガポールと香港で感染者が多発しました。
CDCと全米17州の公衆衛生局がFusarium角膜炎の疑いのある109例について調査をしました。これまでに調査が終了した患者30例中28例は、ソフトコンタクトレンズを使用しており、2例は使用していなかった。使用者28例中26例は、感染前の一ヶ月間にBAUSCH & Lomb社の「ReNu(洗浄、すすぎ、消毒液)」を使用しており、そのうち5例は他の溶液を併用、9例はレンズを装着したまま寝ていた。
そこでBAUSCH & Lomb社は、ReNu液の出荷を自粛した旨をFDAに報告した。同時BAUSCH & Lomb社はCDCと共同で汚染源についての調査を実施したようです。Fusariumという真菌は、病気の原因となる病原真菌の範疇に通常はなく、様々な植物や土壌などの環境中および水道水で見つかることがあります。食器洗浄機からの廃水にFusariumが検出されたという報告をどこかで読んだ気がします。多分20年くらい以前のことですから、正確なことは記憶していません。
 
FDAとCDCは、ソフトコンタクトレンズの汚染を防ぐ措置をとるよう、次のような注意を喚起しています。
*石けんで手を洗い、レンズに触れる前にハンカチやタオルを使わないで乾燥させること。
*医師の指示に従ってレンズの装着と交換をすること。
*レンズの洗浄と保管は、医師と洗浄液メーカーが定める処方に従うこと。
*レンズのケースは、清潔に保ち、3〜6カ月ごとに交換すること。
*赤目、痛みなどなんらかの徴候があったら、直ちにレンズの使用を中止し、医師に相談すること。
 
一般に真菌に有効な治療薬はあまり多くはありません。そのため水虫のように難治性の真菌症が多くなります。これまでにもコンタクトレンズやその洗浄液の細菌については、「208.コンタクトレンズの洗浄保存液の細菌学. 8‐26‐2000.」「297.コンタクトレンズとアメーバ感染.9-26-2002.」で触れています。興味ある方は開いて読んでみてください。
 

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