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443. 麻疹による小児の死亡が減少. 5-20-2006.
キーワード:はしか ワクチン 小児感染 死亡減少
 
ハシカによる寿命の短縮
日本国内で「麻疹(はしか)」は、子供のころに誰でもが罹る普通の病気と考えられていた時代もありました。しかし、麻疹は、軽い病気と片付けてしまうような病気ではなく、伝染力はきわめて強く、そのうえ脳障害も引き起こすこともある怖い病気の一種類であることが判ってきています。それで子供の麻疹を予防するために、優秀な麻疹ワクチンが開発されていますので、国内ではこれを全員に強制的に接種することになっています。
 
国家の経済状態がぜい弱である発展途上国では、ときとして「衛生施設が未整備」であって、結果的には非衛生的な環境に生活している多くの人々がおります。平均寿命の短い国は、戦争状態によるか、転変地変などによる食糧事情が悪いか、収入が少ないために食事が不足しているか、衛生状態が悪いために伝染病が流行っているかなどの原因の存在が考えられます。アフリカ諸国や南アジア地域では、子供の死亡率が高いため、結果として国民の平均寿命が短くなっています。
 
ワクチン接種の成果
世界保健機構(WHO)と国連指導基金(UNICEF)は、麻疹の世界規模での撲滅運動の結果、予防接種運動が高まり、1999年〜2004年に麻疹による死亡はほぼ半減したと発表しています。より具体的には、世界での麻疹による死亡は、1999年の871,000例であったのが、2004年には454,000例へと48%も減少したと推定されるというのです。
 
麻疹は接触感染性の最も高い病気で、麻疹にともなう重い下痢や肺炎などの合併症による死亡が多く、生存したケースでも失明や脳障害がのこることが多くあります。安価で安全で入手可能な麻疹ワクチンを2回接種するだけで、麻疹の大部分は予防が可能であります。
WHOとUNICEFは、麻疹死亡を低減させる活動を、世界の麻疹死亡の約98%を占める47カ国に集中して、ワクチン接種、麻疹患者の治療および疾病監視を強化してきました。その結果、1999年〜2004年に5億人ほどの小児が麻疹に対する免疫を獲得できたと考えられています。アフリカ諸国で麻疹死亡の低減は大きな進歩がみられましたが、南アジア地域での進展は緩やかであったそうです。
国家規模での予防接種運動と小児のワクチン接種が容易になったため、サハラ以南のアフリカでは、麻疹の症例と死亡は60%も減少してきています。今後南アジア地域にも技術的・経済的な支援を拡大し、さらに麻疹ワクチンだけでなく、ポリオワクチン、マラリア予防用の蚊帳、駆虫剤の提供する運動も継続する予定であるようです。
 
 
 
日本国内にいたのでは、想像もできないことですが、栄養摂取の状態が悪いと、抵抗力が弱くなることから、発展途上国での小児は麻疹に罹り死亡する率が高くなります。そのような地域や国では、麻疹なんてと高をくくっている命をとられてしまうのです。ウイルスによる病気は、原則として特効薬がありませんので、予防することが大切となります。その目的にワクチンがあるのです。幸いにして優秀な麻疹ワクチンがありますので、その効果が世界的に見えるようになってきたようです。人間の叡智が麻疹ウイルスに勝利しだしていることを意味します。いずれかの時期には、麻疹は地球上から消えてなくなることが期待されています。

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