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454. コーヒーに肝硬変の保護作用.12-22-2006.
キーワード:コーヒー AST(GOT)  ALT(GPT) アルコール性肝硬変 肝細胞性癌
 
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(ASTまたはGOT)とアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALTまたは GPT)は、多くの組織中に存在しますが、肝臓において最も高い濃度を示します。その肝臓になんらかの損傷があると、この酵素は血液に出てきます。そのため、血液中のこの二つの酵素の値を調べることで、肝臓の機能の一部の働きを推定できます。
コーヒーの愛飲者は、AST(GOT)とALT (GPT)が高値を示す比率が低いことが以前から報告されています。そのため、コーヒー非飲用者と比べると、1日に4杯以上のコーヒー飲用者ではAST高値の比は0.5 (P<0.001)であり、ALT高値の比は0.6(p<0.001)となるそうです。これらの研究からどの成分かは未知ですが、コーヒーに肝硬変、特にアルコール性肝硬変に対して保護作用があると考えられてきました。
 
米国カリフォルニアにある医療センターのArthur. L. Klatsky博士らは、125,580例の対象を用いてコーヒーの肝硬変に対する効果を調べました (Arch. Internal Med. 166:1190-1195, 2006)。この調査研究の対象例は1978年から1985年に収集し、2001年末までにアルコール性肝硬変199例を含む330例が肝硬変と診断されています。このモデルは、年齢、性、民族的背景、教育水準、BMI、飲酒と喫煙の7要因も調べました。これらの集団からは、極端な貧困層と極端な富裕層は除いてあるそうです。
今回の研究から、アルコール性肝硬変のリスク比は、コーヒー非飲用者と比較すると、1日に一杯未満のコーヒー飲用者では0.7、1日に一杯から三杯の飲用者では0.6、1日に4杯以上の引用者では0.2(p<0.001)であることが判りました。これに対して、非アルコール性肝硬変と診断された131例では、コーヒー非飲用者と比べて、1日あたり一杯未満のコーヒー飲用者では肝硬変リスクが1.2、1日に一杯から三杯の飲用者では1.3、1日に4杯以上では0.7であったようです。
これまでの複数の研究では、コーヒー飲用者と原発性肝細胞癌との逆相関関係が確認されてはいるが、紅茶とアルコール性肝硬変または非アルコール性肝硬変との間に相関関係は認められなかったと記載されています。
 
 
コーヒーに肝硬変、特にアルコール性肝硬変に対する保護作用があったとしても、今回の調査成績から肝硬変に対する明確な治療に使える意図はないと述べています。アルコール性肝硬変を抑制する主要な治療法は、過度の飲酒の回避または停止であることには代わりはないようです。コーヒーの人体に対する害作用と有効作用については、既に紹介文を掲載してあります。興味のある方は、「224.コーヒーの効用. 12-11-2000.をお読みください。

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