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469. 多発性硬化症MSの増加. 5-10-2007.
キーワード:多発性硬化症 MS 女性患者の増加
 
アメリカで多発性硬化症(MS)の女性患者が増えているとの報告があります(MT6-21-07)。なぜ女性の患者が増えているのかその原因の推測が珍しいと思いますので、短い説明を記します。
 
多発性硬化症(MS)とはどんな病気
多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)は、神経線維が壊れて多くの瘢痕(はんこん、硬化)が脳、脊髄や視神経などにでき、色々な神経系の症状が表れます。MSの患者は、日本国内より米国のほうが多い特徴があり、難病に指定されています。20才〜40才(ピークは30才頃)のあいだに発症することが多く、女性に多い病気です。症状が表れたり、消えたりを繰り返します。原因は、不明ですが、ウイルス、抗原、遺伝や環境などが引き金になって、自分の組織を攻撃する自己免疫反応が起こるのではないかと考えられています。MSに有効な治療法はありません。
 
アメリカで女性患者が多い理由
アラバマ大学のGary Cutter教授らは、過去60年間に女性の患者が増加し続けていると報告しています。1940年の女性のMS患者は、男性の約2倍でありました、ところが2000年の調査ではこの比率が4倍にまで拡大しているというのです。
Cutter教授らは、男性に対する女性のMS患者の比率がここ10年ごとに約50%近く増加しているという。男性より女性のMSが増加している理由は不明で、今後の研究が必要としています。
 
男女差の拡大が最も顕著であったのは若年発症のMS患者でした。理由は不明ではありますが、強いて推測すると、次のような事柄が挙げられるとしています;@経口避妊薬の使用A初潮の低年齢化B肥満率C喫煙率の変化D初産の高年齢化を含め、ビタミンDの吸収を阻害する可能性があるE毛髪染料F化粧品の使用など、一般に男性よりも女性に多く見られる行動について検討する必要があると述べています。
 
国家で管理しているデータベースから3万336例のデータを用いてMSと診断された年と発症時の患者の年齢に基づいて、MS患者の男女比を算出したと記載されています。これだけの資料から得られた「推測される理由」が、上に記載した七項目であるとは、科学以前の問題もふくれるようで、珍しく面白いと思いました。多発性硬化症については、459. EBウイルスの抗体が高い若者と多発性硬化症」を興味ある方は参照してください。

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