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491. 肥満にウイルスが関与.3-25-2008.
キーワード:肥満、体重、BMI、アデノウイルス
 
健康的な体重を維持するには、適当な食事と運動が重要な役割を果たしていることに異議を唱える専門家はいないものと思われます。しかし、米国人の三割が肥満である現状を食事と運動だけで説明できるのであろうか。
 
このような疑問に対して、研究者の一部は、肥満にたいして何か別な要因があるのではないかと考えるようになってきました。米国バージニア州リッチモンドにあります肥満研究センターのA. Atkinson所長は、ウイルス感染と肥満の関係を証明したと発表しました(Mayo Clinic Proc. 82: 1192-1198,2007)。
 
肥満の一部にウイルス感染が関与し、ヒトからヒトへ伝播する可能性、ワクチンによる予防が将来可能になるとは、これまでにあまり聞いたことがない情報です。私自身が半分首を傾げているのですが、新しいじょうほうなので簡単に紹介します。
 
肥満の大部分が単に米国人の食べすぎと運動不足だけでは説明がつかないことであり、他の要因が働いているとするとウイルスはその要因の一つだと言うのです。ヒトアデノウイルス36型を実験動物に感染させたところ、感染した動物に体脂肪と内臓脂肪にかなりの増加が認められた。またこの研究からアデノウイルスへの感染と感染による体重増加は、感染動物から未感染動物へ伝播する可能性も示されたと言う。
 
動物実験と比較して、ヒトにおけるウイルス感染性肥満に関する情報はきわめて少ない。Atkinson所長は、2005年に本人が実施した研究を引用して、ヒトにおける肥満とヒトアデノウイルス36型への暴露との関係を説明している。
 
米国内の三か所で肥満と非肥満を含む様々な体重の被検者502例をヒトアデノウイルス36型の免疫抗体の陽性者と陰性者に選別した。その結果は、肥満者の30%と非肥満者の11%がヒトアデノウイルス36型の免疫抗体を保有していることが分かった。また後退陽性者と陰性者の間でBMI(Body mass index)に有意な差が認められた。
 
また89組の米国人成人双子を対象にヒトアデノウイルス36型に対する抗体の有無別に選別した研究も紹介している。双子は、体重など多くの特製において類似する傾向があることから、一方がヒトアデノウイルス36型の抗体が陽性で、他方が抗体陰性の双子のペアを調査した。
 
その結果、抗体陽性の双子は抗体陰性の双子に比べ、軽度ではあるが有意に体重が重く、さらに体脂肪率やBMIも高かったと報告しています。理論的には、肥満ウイルスのワクチンによるウイルス性肥満を防ぐことが可能である。しかし、ヒトの肥満ウイルスワクチンの開発には、まだ数年の研究時間が必要であろう」と述べています。
 
 
このような研究を積み重ねていくと、いずれかの時期には「食事の摂りすぎと運動の不足以外に、肥満を引き起こす別な要因が見つかる可能性も否定はできない。しかし、ここの報告で使用されているアデノウイルスは、色々な動物に特有アデノウイルスが存在し、動物の種の壁を越えて感染することは珍しいことと理解しています。とするとヒトのアデノウイルスを実験動物に感染させたとしているが、感染そのものを立証する必要があります。もうしばらく様子をみることにしましょう。
下のHPにも肥満のウイルスが掲載されています。参考までに紹介します。
<http://www6.ocn.ne.jp/~syuneido/diet10.htm>; <http://kenkodo.web.infoseek.co.jp/mail/136.rtf>;  です。

その他にも検索すると色々みつかります。

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