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494. HIV感染者と腎移植患者で高い発癌率.5-1-2008.
キーワード:ウイルス癌、HIV感染者、腎移植患者、免疫不全、発癌率
 
オーストラリアのニューサウスウェールズ大学のAndrew Grulich教授らは、HIV/エイズ患者と腎臓移植患者の発癌率を検討する研究を行い、一般人口に比べて20種類のガンの発症リスクが高いとの研究成果を世界的なレベルの学術雑誌に発表しました(Lancet 370: 59-67, 2007)。
 
この研究では、HIV/エイズ患者の444,172例と腎臓移植患者の31,977例を対象として行い、各種ガンの発症率を比較検討しました。
 
EBウイルスによると考えられるホジキンリンパ腫の発癌リスクは、HIV/エイズ患者では一般人より11倍高く、腎臓移植患者では約4倍高かった。ヒトパピローマウイルスによる子宮頚癌、口腔、陰茎や肛門のガンなどでは、HIV/エイズ患者と腎臓移植患者とも一般人より有意に高かった。HIVウイルスによると考えられているカポジ肉腫では、HIV/エイズ患者に発症する可能性は一般人の3,640倍、腎臓移植患者でも208倍の上昇が認められた。
 
Grulich教授は「HIV/エイズ患者と腎臓移植患者の唯一の共通点は、免疫不全である。ウイルスとの関係がない乳癌や前立腺癌などの発症率は、両群ともに一般人と同等であった」と述べ、「HIVとの関連が認められているガンは、現時点ではホジキンリンパ腫、子宮頚癌とカポジ肉腫の3種類のみであるが、今回の研究ででは20種類近くのガンが関連する可能性を見出した」と付け加えている。
 
この報告では、免疫不全が癌リスクと関連することを示しています。このことは免疫系をさらに高レベルに維持する必要があることを示唆しています。ウイルスとの関連のない、先天性免疫不全患者や臓器移植患者における発癌率を調査する研究も是非共に展開して貰いたいものです。

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