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503. 銀塗布気管内チューブで肺炎減少.8-26-2008.
キーワード:細菌性肺炎、バイオフィルム、気管内チューブ、銀の抗菌作用
 
人工呼吸器関連の気管内チューブ、導尿用チューブやカテーテルなど、体内に留置するチューブ類は、長期間使用すると細菌が付着し、細菌によるバイオフィルム(薄膜)が形成され、色々と面倒な問題を引き起こす原因となることが多い。
 
米国セントルイスにあるワシントン大学のM.H. Kollef博士などの研究グループは、銀を塗布した気管内チューブの使用により人工呼吸器関連の細菌性肺炎の発生率が有意に減少することを発表した(JAMA 300:805-813, 2008)。
 
調査研究に使用した銀をコーティングした気管内チューブは、細菌が付着してコロニー形成とバイオフィルム形成を抑制できるようにデザインされたものである。北米の54施設が参加して2002年〜2006年の5年間に実施された調査研究で得られた結果である。
 
24時間以上の人口呼吸器の使用が必要と考えられる成人患者を、銀を塗布した気管内チューブ群と銀を塗布してない気管内チューブ群に分けた。主な評価項目は、24時間以上挿管した患者の人工呼吸器関連の細菌性肺炎の発生率と人工呼吸器関連の細菌性肺炎の発生までの時間などを検討した。
 
その結果、24時間以上挿管した患者の人工呼吸器関連の細菌性肺炎の発生率は、銀塗布群で4.8%(37/766例)、非銀塗布群では7.5%(56/766例)で相対リスクの低下が認められた。また銀塗布気管内チューブの使用は、人工呼吸器関連の細菌性肺炎の発生の有意な遅延と関係していた。
 
しかし、両群の挿管の期間、集中治療室への入室期間、在院日数、死亡率、有害事象の頻度と重症度などは、有意な差は認められなかったそうである。
 
 
金銀銅などの金属は、殺菌作用のあることはかなり以前から判っています。しかし、銅は量にもよるが成体に毒性を示すので体内に挿入するような器材には使われない。金や銀は生体に対して毒性はあまりないので、金箔の入ったお酒や純銀コロイドの健康食品も売られています。今回の報告は、銀をコーティングした気管内チューブは、細菌性の肺炎の発生率を低下させると云うものです。銀の殺菌力は、酸化された銀よりは酸化されていない純銀の方が強力です。銀のコーティングの仕方や銀膜の厚さなどは今後の研究に待ちたいものです。

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