507. 口腔内乾燥は虫歯の温床. 10-12-2008.
キーワード:口腔乾燥、唾液、虫歯の増加、微生物の増殖、
健康な成人で唾液腺が正常に機能していると、一日に約700ミリリットルの唾液が口腔内に分泌されると言われています。しかし、原因は別にして、唾液腺が充分な量の唾液を分泌しなくなると、口腔乾燥状態と呼びます。こうなると舌が上あごにくっつく感じになり、食べ物をうまくかめなくなり、場合によっては会話が困難になることもあります。
チューリッヒ大学のChristian Rath博士らによると女性の約20から46%、男性の23から26%で口腔乾燥状態が観察されるそうです(Therapeutische Umschau 65: 91-96, 2008)。
口腔乾燥状態は、唾液分泌量が減少しているだけの唾液減少症と、口腔内が完全に乾燥してしまう口腔乾燥症の二種類に分けられます。唾液が分泌されないと、疼痛感の亢進や出血しやすくなるため、口腔内の衛生管理がおろそかになる患者やお年寄りもおり、これが虫歯や口臭の原因となる。口腔粘膜の抵抗性が弱くなると、ウイルス、細菌や真菌などの微生物が殖えやすくもなります。
口腔乾燥の主な原因
・服用している薬剤
・唾液腺の機能が低下
・高齢者などの水分摂取量の不足
・自律神経の障害
・口での呼吸
・シェーグレン病など
口腔内に唾液がたまっていない口腔乾燥状態の場合、歯牙の多量な脱灰、もろくなったエナメル質、ゴム様の象牙質などが特徴的で、これらの症状が急速に進行することがあります。1か月に2か所のハイペースで虫歯が生じることもあるようです。
高齢者などでは、服用している薬剤以外にも水分の摂取量の不足が原因と考えられるケースがあります。口腔乾燥症の治療法としては、適切な口腔内の衛生管理、歯科医師による歯牙の洗浄、唾液の分泌刺激、唾液代用品の使用などが挙げられます。チューインガムを予防目的で使用させるとよいようです。
口腔乾燥の予防法
・日々の入念な口腔衛生管理
・フッ素配合の歯磨き剤
・専門家による歯牙の洗浄
・フッ素剤の塗布、3-4回/年
・糖や酸の少ない食品
・無糖のチューインガムをかむ
・シェーグレン症候群の場合は
・薬剤の服用
口腔内が乾燥している状態の人が、男女差もあるようだが、意外に多いのには少し驚いた。特にどこも悪くなくても、睡眠中なども含めて口で呼吸していると、それだけでも口腔内が乾燥することは珍しくない。さらに人によっては、イビキの原因ともなることがある。これらの呼吸による乾燥は、乾いたらすぐに口腔内を湿らす、または室内の湿度を適切に調整することであると思う。
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