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534. 緑膿菌の感染で爪が緑色に変化.10-15-09.
キーワード:緑膿菌、肺炎桿菌、看護師の爪、緑色の爪、手袋の装着
 
デュッセルドルフ大学皮膚科センターのUlrich R. Hengge教授とVirginia Bardeli教授は、爪の色が緑色に変化していた集中治療室(ICU)勤務の看護師のの爪から緑膿菌と肺炎桿菌が分離されたとNEJM (360:1125, 2009 )に報告した。
 
53才のICU担当の看護師は、両腕と両脚に疥癬を患っており、両親指の爪が緑色に着色していた。爪の表面をかきとって、細菌学的な検査を実施した。その結果、緑膿菌Pseudomonas aeruginosa肺炎桿菌Klebsiella pneumoniaeが分離された。そこで抗菌物質のナジフロキサンシンnadifloxacinを局所投与したところ、2週間後には爪の緑色病変は消失し正常に戻ったという。この緑色変化は、緑膿菌によって産生されるピオベルディンpyoverdinによって引き起こされたと考えられる。
 
庭仕事などの高湿度環境だけでなく、ICU内で両手にゴム手袋を装着した状態も緑膿菌にとっては増殖するための良い環境となる。そのために手袋の使用は、過信すると危険であることを示唆する結果となった。
 
 
先般ある動物園のシロクマの白い毛が緑色に変化してしまったということが大きく報道されていました、そのシロクマの緑色変化を詳細に調べたところ、毛の表面に傷をつける細菌の感染とその傷から毛内部に入り込んだ藻の産生する緑色色素が原因であることが判ったと報告されていました。今回の報告は、ヒトの爪に緑膿菌が増殖すると菌が作る緑色の色素により緑変したのである。シロクマとヒトでまったことなる現象だが、表面的な色の変化は似ているので取り上げました。ニューイングランド医学雑誌NEJMは、世界で最も権威のある学術雑誌の一つで、掲載される報告はきわめて短いのが特徴です。

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