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565. 男性の乳ガン
キーワード:男性の乳がん、発症率、遺伝子変異
 
マンチェスター大学保健科学センターの医学遺伝学のGareth Evans教授らは、BRCA2遺伝子変異を有する男性の15人に一人は70才になるまでに乳ガンを発症すると発表した。(BRCA1, BRCA2 and CHEK2 c.1100 delC mutations in patients with double primaries of the breasts and/or ovaries. J Med Genet 2010; 47: 561-566)
 
BRCA2遺伝子変異を有する女性では、若年性の乳ガンの発症率が有意に高くなるが、男性についてはこれまでに調査研究がほとんど実施されてないこともあり、男性の感受性については不明であった。
 
Gareth Evans教授らは、今回BRCA2遺伝子変異を有する321家族を調査の対象として調査研究をおこなった。321家族中20例(6.2%)の男性が29才〜79才で乳がんを発症した。その他の得られた数値にもとづくと、男性が乳がんを発症する率は、70才までに乳がんを発症する率は15例中1例(7.1%)80才までの発症率は12例中1例(8.4%)であった。さらに西欧男性における生涯罹患率は6〜9%であることもあきらかにされた。
 
ミュンヘンの泌尿器科医師のむChristian Hofer 博士らは、男性の乳がんは増加傾向にあり、発見された時には既に進行していることが多く、予後は不良であるとUrologe 49: 1142-1148,2010)に発表している。
 
Hofer博士らは、ムンプスや肝疾患のさいなどにテストステロンの欠乏やエストロゲンの過剰生産なとが乳ガンリスクを上昇させていると述べている。男性乳ガンの5年生存率は60%で10年の生存率は40%で、女性患者より予後は不良である。男性乳ガンに対する標準治療は手術で、手術後に放射線治療をおこなう場合が多いと云う。
 
 
20年以上前にマウスでは自然発生の乳ガンがメスマウスに多い、しかしオスマウスにも乳ガンの発生は皆無ではなく症例は少なくても確実に存在することを知った。ここに報告した事例は男性乳ガンに関するもので、女性の乳ガンの発症率より男性乳ガンは低いけれど、発症すると予後は女性の患者より悪いらしい。病にかからないために用心するに越したことはないが、遺伝子やホルモンが関係するとなるとどうしたらよいのか一般人にはよく判らない。

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