ラゲニジウム症は日本海のホッコクアカエビに初めてみいだされて以来、トヤマエビやホッカイエビなどの深海性のエビと、養殖されているタイワン･ガザミや通常のガザミに発生が報告された真菌病(かび病)である。症状は体の一部または鰓(えら)が黒くなり、エビやガザミの幼生ではその体内でかびの菌糸が発育する。
原因菌はラゲニジウムは鞭毛菌類(以前は藻菌類の1群)の卵菌類のクサリフクロ(ツボ)カビ目、クサリフクロ(ツボ)カビ科に属している。エビの場合はラゲニジウム･ミオフィラム(L.myophilum)で、深海(低温)性エビに発病するので低温でもよく発育する。また、ガザミの場合はラゲニジウム･カリネクテス(L.callinectes)であるが、高水温で発育する点が違う。この属のかびは遊走子の放出管の先に小嚢をつくり、その中に遊走子ができることが特徴である。養殖ガザミのラゲニジウム症の予防･治療法はホルマリン処理が有効である。